「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」番外編
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エルミタ的業界インタビュー「オピニオン」 Vol.2 2011年は反転攻勢へ! 日本Shuttleの偉い人 伊藤氏に聞く
エルミタ的業界インタビュー「オピニオン」Vol.2
2011年は反転攻勢へ!
日本Shuttleの偉い人 伊藤氏に聞く
2010年11月30日 1:40
取材:GDM編集部 Tawash
キューブ型ベアボーンの代名詞といっても過言ではないメーカー
Shuttle
。最近ではNVIDIAの次世代IONを採用した小型ベアボーン
「XS35GT」
を発売するなど、2010年後半になって積極的な展開を見せている。
エルミタ的には2009年4月に掲載した
「最強のCubeベアボーンを試してみた」 〜Shuttle SX58H7編〜
以来、久々の登場となるが、今回は業界インタビュー「オピニオン」 Vol.2として、じっくりと同社の伊藤氏に話を伺うことができた。
東京メトロ半蔵門線 住吉駅を出てすぐにある
日本Shuttle株式会社(東京都江東区)
。眼下に猿江恩賜公園が広がる、見晴らしの良い同社ミーティングルームでのインタビューとなった
・東京メトロ半蔵門線 住吉駅から徒歩1分で着く日本Shuttle株式会社。道路を挟んだ向かい側には、墨田川の支流となる横十間川沿いに猿江恩賜公園が広がる緑豊かな環境である
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急速な変化を遂げたキューブベアボーン市場
編集部:
今年を振り返るタイミングとしては少々気が早いのですが、今年一年、Shuttleにとっての日本市場はいかがでしたか?
伊藤氏:
今年というか、ここ数年のことなんですが、キューブPCがいわゆるブームだった2年くらい前とは状況が大きく異なってきましたね。
現在のベアボーン市場のシェアは完全にAtom搭載の小型モデルが主流になっています。去年になってAtomやION系のMini-ITXが一気に流行して、今まで小型ベアボーン市場に参入していなかったメーカーさんが多数入ってきました。
結論から云うと非常に厳しい年
だったと思います。
今まで、ベアボーンって自作というカテゴリの中では、非常に価格帯がぼやけているというか、明確でない部分があったんですよね、これは良い意味で。独自規格や専用電源の採用などでかなり独自の進化を遂げてきた。
今風に言うのであればガラパゴス化
とでもいいましょうか(笑)。当然コストもかかる部分ですから、メーカー主導の価格帯を市場も受け入れてこれたんです。
ところが、単体でも販売しているようなAtomやION系のMini-ITXマザーを採用した小型のベアボーンが一気に流行して、ある程度ユーザーさん側でもコスト的なバランスに注目するようになった。
伊藤 賢氏
1978生まれ。千葉県出身。
株式会社エルザジャパン、星野金属工業を経て、平成16年に日本Shuttle株式会社へ。現在は、同社の最高業務執行責任者を務めている
編集部:
なるほど。価格も安くなりましたよね。
伊藤氏:
そうなんです。当時のキューブベアボーンにおいて販売価格が19,800円というのはギリギリの最安ライン。それ以下にはできないというレベルだった。それをAtomやION系のベアはあっさりと越えてきたわけです。
細かく言えばスペック等は異なるわけですが、それでもWebブラウジングだとかDVD観賞だとか用途でいったらそれほど変わらないPCが、キューブと比較して安く手に入る。しかもですね、他社では出せない特殊な構成なのをいいことに、弊社のキューブベアボーンは新製品の投入が非常に遅かった。これは悪い体質ですね。
ご存知の通りだと思いますが、Intelのチップセットが発表されて、アキバではとうに販売されているのに、Shuttleのベアはなかなか出て来なかったですよ。3カ月後とかひどい場合は6カ月後とか。
・ミーティングルームには日立製55インチのプラズマTVがある。もちろんPCと接続されているため、打ち合わせの場では大画面の液晶モニタとして活躍。一転してゲーム大会や野球観戦など社内歓談の場に変わることもしばしばとか
編集部:
そうですね。それは我々メディアも取材をしていて非常に強く感じていました。マザーボードの投入はCPUと同時ですからね。
伊藤氏:
もちろんAtomなどでできないハイエンドなモデルについては問題ないのですが。今だから言えますが、一番の売れ筋であるミドルからローエンドモデルは、正直言って大打撃を受けました。これは日本だけでなく、グローバルでそうなりましたね。他社からAtomやION採用のベアボーンがどんどん発売されましたから。
編集部:
Atomを始めとした製品の登場は非常に驚異になったわけですね。
伊藤氏:
はい。今までは、新製品の発売が半年遅れても「キューブPCとしては初の○○○」とか、「小型PCとしては初の製品」とかが可能だったんですよね。それが完全に出遅れた。そこで台湾の本社は決断したわけです。このまま、今までのやり方を続けていてはジリ貧だと。今ここでドラスティックに製品の方向性を変えなければならない。そこで去年末になりますが、新製品の開発を全てストップ。「H55」を採用したモデルなども今年早々に発売予定でしたが、それらも全部中止ですね。唯一、「G41」採用のローエンドモデル
「SG41J1」
(現在は「SG41J1 PLUS」)だけ展開をしたわけです。
編集部:
確かに。それは厳しいですね。
伊藤氏:
まったくです。まぁ既存モデルもあったとはいえ、極端に言うと私たちが販売していたのは「SG41J1」だけ。今年の1月から6月まで、上半期ですね。この6ヶ月間は大変でした。いやぁしんどかった。その後、「H55」採用の
「SH55J2」
や「X58」採用の
「SX58J3」
が出揃い、おかげ様で現在は無事に某大手ランキングにてシェア1位に返り咲きました。
13,000円で購入可能なLGA 775対応「SG41J1」
・市松模様が特徴的なフロントフェイスを採用する「SG41J1」。現在はDDR3メモリに対応した「SG41J1 PLUS」も併売されている。実売価格は13,500円前後。Shuttleを代表する安価なキューブベアボーンだ
チップセットに「G41」+「ICH7」を採用した「SG41J1」。LGA 775ソケット対応と数世代前のプラットフォームを採用しながらも、価格の安さが魅力のキューブベアボーンである。オンボードグラフィックスは「G41」内蔵のIntel GMA X4500。DVI、D-Subの2つの映像出力を搭載するため、ビデオカードを追加すること無くデュアルディスプレイ環境を構築することもできる。
・背面には9cmファン、電源ファン、拡張スロットx2に加えて、盗難防止用のケンジントンロックポートも。バックパネルのI/O部はPS/2、D-SUB、DVI、USB2.0x4、LANポート、サウンドポートとなっている
・内部の様子。「パフォーマンスを落とさずにコストをどれだけ削れるか」がポイントとなった。これまでのShuttle製のキューブベアボーンでは排気ファンとCPUクーラーが一体となっていたが、「SG41J1」ではマザーボードがMini-ITX互換となるため、CPUクーラーも付属せず、リテール版の利用となっている。また排気ファンには9cmの回転数可変タイプを採用。ファンガードがついており、狭いキューブPC内でも配線が巻き込まれないよう配慮されている
オンボードグラフィック機能を搭載しているためビデオカードは用意せず、手近なCPUを探すと机の下に転がっていた「Celeron E3200」を発見。これでWindows 7エクスペリエンスインデックスをチェックしよう。
その結果、最も低いゲーム用グラフィックスでも3.5、それ以外は全て4を超える数値を記録。もたつきなども無く比較的快適な操作感だった。現在入手できる最低スペックのCPU(例えば4,000円程度で入手できる「Celeron E3400」など)と組み合わせても、目的によっては十分に実用的であることがわかる。ゲームをやらない、ライトな利用なら不満はないはずだ
・グラフィックス周りの数値が低いのは織り込み済み。PCI Express ×16スロットを備えるので、気になるようならBlu-ray再生支援機能等をサポートするミドルレンジクラスのビデオカード増設を検討してもよいだろう。ただし、搭載電源は250Wタイプということはお忘れなく
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SX58H7
Core i7シリーズが搭載可能な、ハイエンドキューブ。 ATI CrossFireXやNVIDIA SLIにも対応し、複数のグラフィックスボードで3D描画性能もアップできます
SG41J1
Mini-ITX準拠のシャーシを採用したキューブ型ベアボーンです。Intelの45nm版プロセッサやデュアルディスプレイに対応。コストパフォーマンスに優れた多機能なパソコンをすぐに実現できます
SG41J1 PLUS
新型シャーシ採用ベアボーンの上位モデルです。高性能なDDR3メモリーに対応。パフォーマンスの高さと先進性を求める方にお薦めです
SH55J2
対応ソケットはLGA1156で、Intelの主力CPUを搭 載できます。チップセットはIntel H55。CPU内蔵のグラフィックス機能にも対応し、ホー ムユーザーからオフィスユーザーまで満足できる製品です
SX58J3
Intel X58チップセットを採用し、Core i7シリーズを搭載可能。ミドルタワーをも凌駕する高性能PCが作れます。マザーボードはMini-ITX仕様で、長く自作PCを楽しめます
XS35
幅がわずか38.4mmの、スリムでコンパクトなベアボーンです。CPUにAtom D510を搭載。スリムドライブベイや2.5インチベイなど、十分な拡張性も確保しています
XS35GT
新たにNVIDIAの次世代IONを採用し、従来モデルからグラフィックス機能を大幅に強化しました。スリムドライブを増設すれば、Blu-ray Discの再生にも対応します
X50 V2
タッチパネル液晶採用の、オールインワンベアボーン。指で簡単に操作できるため、家庭、オフィス、公共の巣エースなど幅広く活用いただけます
SA76G2 V2
新たにAMDの6コアCPUに対応しました。チップセットは従来モデル同様AMD 760Gを搭載。ATI Radeon HD 3000のグラフィックス機能を内蔵しており、小型ながら3Dゲームも快適に楽しめます
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