|いったい誰が一番損をしたのだろうか
編集部:
日本国内市場では3月に入り、各マザーボードメーカーの代理店によるB3ステッピングへの交換対応がスタートしました。当初4月頃という話もあり、結果的に前倒しとなったのはショップさんにとっても一安心といったところのようです。
Patric:
交換対応時期については、ある程度のマージンを取りますからね。これで当初の予定よりも遅延したとなれば、購入者が怒るだけでなく、メーカーとしてのイメージダウンが大きすぎるでしょう。早まって怒る人はいないわけで。
編集部:
確かにそうですね。言うならば当たり前の対処方法といえます。ところでチップ供給元であるIntelは、不具合品が搭載されたマザーボードベンダーの製品を今後どうするんでしょうか。まさかチップを載せ替えるというわけでもない。
Patric:
当然Intelに返品という方法は現実的ではない事は想像できますよね。知人のPMによると、初期ロット(非B3ステッピング)をIntelに返品する事はないといいます。
編集部:
今回、ユーザーにはまったく非がないリコールになるので、交換に関する送料なども全部負担になりますよね。細かいことを言えば、コールセンター(サポート窓口)の電話代や人的労力もタダではない。それも含めてIntelからの保証はあって当然ですよね。
Patric:
金銭的な動きは無いようです。これも前出のPMからの話ですが、チップの供給量を上乗せするという話があります。つまり1K(1,000個)発注すれば、補填分で20%増量して納品する。
編集部:
なるほど、現物補填ですね。
Patric:
業界側にいる立場からすれば、金銭的補填はできないと思います。正確および公正に算出する術がない。
編集部:
ある意味仕方がないと。マザーボードベンダー側も納得するしかないでしょうね。休日返上の担当者には気の毒ですが。その分、落ち着いたところでお休みがもらえるのかな。
Patric:
5月末からCOMPUTEX TAIPEIが始まりますので、そんな呑気な事は言えないはずです。気の毒としか言いようがありませんが(笑)。
編集部:
となれば、今回の騒動で1番迷惑を被ったのはユーザー、対応に奔走した代理店、マザーボードベンダーといった順でしょうか。 でも金銭的に損をしたIntelは莫大な損害でしょうね。
Patric:
期待して買ったユーザーはもとより、チップ供給者以外全員じゃないですか。ちなみにIntelの損害は小さいとの話があります。実はIntel内部の関係者と先日その件で直接話をしました。大部分はお話できませんが、P67、H67、H61の製造単価にそのヒントが隠されています。不具合分を次回発注数から上乗せで補填するという方法は先ほどご説明した通りです。
編集部:
なるほど。当然各々のチップセットは型番毎に上位・中位・下位の価格設定がある。ただし、その差は開発コストの意味合いが強く、個体としての製造価格には違いがあまりない、、、
Patric:
この話はここまでにしておきましょう。
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台湾の秋葉原・光華商場では日本よりも早くB3ステッピングマザーボードの販売が開始された |
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|ちょっと気になる回収したマザーボードの行方
編集部:
ちょっと下世話な話ですが、回収したマザーボードの行き先は気になります。Intelに返品するわけではない事は分かりましたが、どうなっちゃうんでしょうか。
Patric:
再利用するようです。全てのメーカーがそうするかは分かりませんが、某メーカーではアップデートしないシステムなどに組み込むと言っていました。だって不具合が出るのはSATA2.0ポートだけですよ。廃棄処分は良い選択ではない。
編集部:
確かに。その部分だけを除けば、普通に使えるワケですからね。旧ステッピングという点だけ目をつぶれば訳あり品とは言え、用途によってはまったく問題が無い。
Patric:
そういった需要もありますからね。さすがに自作市場で流通する事はないはずですが、どこかで活躍する事でしょう。
編集部:
ちなみにSATA2.0ポートの不具合について、Patricさんは実際に体感していますか?
Patric:
知人がテストしています(笑)。交換対応の期限まで時間がありますからね。かなり早い時期に速度低下を確認したと言っています。とは言え、彼はヘビーユーザーなので、尋常ではない使い方で再現しているのかもしれませんが(笑)。
編集部:
試してみようという人は多いでしょうねぇ。
Intel 6シリーズ不具合問題の顛末に続き、次回は台湾の最新自作事情をお届けする予定。今、台湾ではどんなパーツが熱いのか?乞うご期待。 |
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