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エルミタ的業界インタビュー「オピニオン」 Vol.9
老舗冷却機器メーカー
ZALMANが目指す新たなステージとは?
2012年3月15日 19:00
TEXT:GDM編集部 Tawashi
 日本の自作ユーザーにとってZALMANと聞いて頭に浮かぶのは、どんなアイテムだろうか。まずはCPUクーラーやPCケース、比較的古参のユーザーにとっては、やはりVGAクーラーや水冷キットかもしれない。いずれにせよ自作市場では高い支持を受け続けている同社の製品なのだが、昨年末からはSSD市場に参入したのを皮切りに新カテゴリーへの進出を積極的に図っている。どうも、ここ数年のZALMANとは様子が違うようだ。
 そんな中、今回は長年にわたってZALMAN TECH(本社:韓国)の国内正規代理店を務める株式会社アスク(本社:東京都千代田区)の全面協力のもと、来日した本社幹部スタッフにインタビューする機会を得た。同社が目指す“新しいZALMAN”について興味深い話を聞くことができたので、じっくりとお伝えしていきたいと思う。

 今回、プロモーション活動のため来日したのはZALMAN TECH(以下:ZALMAN)でGeneral Manager/Overseas Marketing Deptを務めるYoungcho Yoo氏(以下:Yoo氏)とManaging Director/Strategic Planning Deptを務めるGunn Ihn氏(以下:Ihn氏)の2人。Yoo氏においては、エルミタ取材班が昨年のCOMPUTEX TAIPEI 2011取材時にお世話になった人物だ。

General Manager/Overseas Marketing Deptを務めるYoungcho Yoo氏。2001年に日本担当となり創成期からのZALMANを支える。現在は海外事業部長という立場ながら、日本市場だけは現在も率先して担当。日本語も堪能である
Managing Director/Strategic Planning Deptを務めるGunn Ihn氏。営業からマーケティング業務まで、その仕事は多岐にわたる。我々に逆取材を試みるなど、ユニークな人柄



元は特許事務所のメンバー。始まりは1人の自作オタクから

編集部:
 日本のユーザーにとって、ZALMANといえば、VGAクーラーやCPUクーラーの有名メーカーといった印象です。また、最近では「Z9 PLUS」に代表されるケースメーカーとしてのイメージが強いと思います。ここで改めてZALMANという会社を日本のユーザーに紹介して頂けますでしょうか。

Yoo氏:
 ZALMANは、もともとは特許事務所に勤めていた数名と、そのオーナーが中心になって1999年1月に設立された会社です。

編集部:
 特許事務所ですか。それはまた面白いエピソードですね。もう少し詳しく聞かせてください。

韓国語でZAL=良い、MAN=作る、といった意味が込められているという「ZALMAN」。モノ作りの精神が宿っているよいネーミングだ
Yoo氏:
 そのメンバーのS.C.LEEという人間は少し変わっているというか(笑)。いわゆる“パソコンオタク”と呼べる人間でして、昔から非常に自作パーツが好きだったんですね。それで特許事務所に勤めながら日々PC自作を楽しんでいたのですが、ヒートパイプなどの特許に関わったという経緯もあり、ZALMANという冷却専門の会社を立ち上げたというわけです。ちなみに社名の“ZALMAN”は、韓国語で「良く作る」という意味が込められています。

編集部:
 日本国内第1弾の製品は扇状フィンが特徴的な「CNPS3000/3100」でした。たしかIntel Socket 370用のCPUクーラーだったと記憶しています。

Yoo氏:
 そうですね。扇形やお椀型のクーラーを初めて作っていた頃で、日本での発売は2001年です。

今からちょうど10年前の2002年2月に発売された、Intel Pentium 4用扇型CPUクーラー「CNPS6500A-AlCu」。PCケース側に固定して使う90mmファンと専用ステイ、そしてファンコン「FAN MATE1」がセットで販売された

編集部:
 その後はヒートパイプを採用したVGAクーラーなども先駆けとして販売されていました。

現在でも主流の冷却機構“ヒートパイプ”を世界で最初に採用したというVGAクーラー「ZM50-HP」。「ファンを使用しないことで半永久的に使用可能」という謳い文句は斬新だった

Yoo氏:
 ちょうどあの頃はPentium 4の時代で、CPUの発熱が問題とされていました。またGeForce4 Ti 4200をファンレス化するVGAクーラーなどもヒットしましたね。

編集部:
 懐かしいですね。ところで、S.C.LEE氏ですが、今もZALMANにいらっしゃるのでしょうか。

Yoo氏:
 現在はいません。どこにいると思いますか?あのNOFAN Corporation(本社:韓国)ですよ。

編集部:
 なるほど。巨大ファンレスCPUクーラー「CR-100A」を見るだけでも、ユニークな人柄が製品に出ていますよね。エルミタでもレビューさせていただきました
 では改めて。PCケースやSSDなど、徐々にカテゴリを増やす方向にシフトされていますが、新規参入を積極的に行う意図はどの辺りにあるのでしょうか。

「COMPUTEX TAIPEI 2011」で衝撃のデビューを果たし、エルミタでもいち早く検証を行ったNOFAN Corporationの巨大ファンレスCPUクーラー「CR-100A」。仕掛け人はタダものではなかったようだ

Ihn氏:
 今まではどうしても製品ライナップが少ないというのがネックでした。そこでSSDやグラフィックスカードの新規参入など取り扱いラインナンップの強化、ひいてはZALMANブランドとしてのトータルソリューションを提供していきたいと考えています。もちろん良い意味でのZALMANらしさは大切にしていくという点は、ユーザーの皆さんにお約束させていただきます。
 また、従来からもつクーリングソリューションの分野でも成長を目指しています。韓国ではSAMSUNGやLGといった大企業からも冷却についての問い合わせを受ける機会も多く、今後はこのような分野でのB to B(Business to Business)も増えていくと考えています。

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