編集部:
やはりZALMANの水冷といえば、日本では一大ブームとなった「RESERATOR 1」ですよね。内蔵タイプということですが、ネーミングは「RESERATOR」だったりするのでしょうか。
Yoo氏:
そこは分かりません。「RESERATOR」は一応終息しているシリーズですので。ちなみに余談ですが“RESERATOR”は「Reserve」と「Radiator」を合わせた造語なんです。
編集部:
あ、そうなんですか。あれは良く売れましたよね。再入荷するとよく店頭で「たった今入荷しました〜!」と告知していて、すぐに完売していた光景を思い出します。
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爆発的ヒットといって差支えないだろう。ピーク時には月に3,000台が販売されたというタワー型の水冷クーラー「RESERATOR 1」。冷却ファンがない静音をウリとした外付け水冷式システムだった |
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Yoo氏:
そうですね。日本市場での最盛期には1カ月で3,000台までいくかどうかというほど売れました。当時30,000円近くした製品で、最初は売れるかどうかと不安だったのを思い出しましたよ(笑)。
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「RESERATOR 1」のデビューから約1年後に登場した後継機「RESERATOR 1 Plus」。本体カラーが鮮やかなブルーからブラックに変更された |
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|研究に余念なし。ライバルメーカーの製品はアキバで購入
編集部:
扇状CPUクーラー「CNPS3000」(2001年)、「CNPS5000」(2001年)、「ZM-NB32J」(チップ用/2002年)、「CNPS6500A」(2002年)、、、さらに最新の「CNPS9900」「CNPS11X」など、ZALMANは独特な形状やギミックで自作市場に刺激を与えてきました。日本の自作ユーザーの多くは、斬新なデザインや独自技術こそZALMANというイメージが強いはずです。ZALMANの独特なアイデアやギミックについて、プロジェクトの進め方、または設計から製品化に至るプロセスやかかる時間などお聞かせください。
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これを覚えている人はなかなかのマニア。チップセット/VGAチップ用のヒートシンクとして販売された「ZM-NB32J」。マザーボードのチップセットをファンレス化するには最適なアイテムだった |
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Yoo氏:
まず最初に言っておきたいのが、弊社は企画から発売までが非常に長くかかるという点です。通常他社さんが4カ月から半年で製品化するようなものでも、ZALMANでは1年程度の時間がかかります。
編集部:
それはなぜでしょう。
Yoo氏:
一番の原因はクォリティの維持です。少し特殊だと思いますが、ZALMANでは開発部やマーケティングなどよりもQC(Quality Control:品質管理)部門の方が力を持っています。ですので、世界中に製品リリースを流しても出荷直前でQCからストップがかかる、などということも珍しくはありません。もちろんクォリティ維持のためなのですが、我々マーケティングチームからしますと、ユーザーさんにもご迷惑をおかけしているので、その点は申し訳ありませんね。
編集部:
なるほど。アメリカなどでリリース発表された製品が、日本の代理店であるアスクさんからなかなか発表されないということがままありますが、そういった理由なのですね。
Yoo氏:
ええ、アスクさんはよくZALMANという会社を昔から知っていますので(笑)。おそらく、弊社QCからのゴーサインが出るのを見計らって国内発表をしているはずです。最近ですと「Z11」。これは12月に発売予定だったのですが、QC部門からNGが出て結局2月まで発売が延期しました。こんなことは、うちではよくあるんですよ。
編集部:
クォリティの維持には昔から重点を置いているんですね。
Yoo氏:
ただ、改善点のひとつであるとも思っています。クォリティを維持しつつも市場への投入時期を急ぐことが売り上げに直結しますので。今後はいかにバランスを取っていくかが課題です。 |