デュアルGPU GeForce GTX 690の発売、オーバークロックモデルやメーカーの工夫を凝らした高冷却モデルなどなど、役者が揃って円熟してきた印象のグラフィックスカード市場。ヘビーユーザーたちも単に“食べて美味しい”カスタムモデルには口が慣れ、そろそろその興味も“プラスアルファの味付け”へと移ってくる時期と言えるかもしれない。
それを見計らったように登場したのは、MSI(本社:台湾)が誇る最高峰のウルトラハイエンドモデル「N680GTX Lightning」。ついにやってきたか、と快哉を叫んだユーザーも多いだろう。もはや多くを語る必要はなし、早速エムエスアイコンピュータージャパン株式会社(本社:東京都台東区)より借り受けたサンプルを開梱し、そのホンキの実力を確かめていこうじゃないか。 |
|待ちに待ったGTX 680の本命登場!極限OCを実現するMSIの大看板「Lightning」
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「ミリタリークラス」準拠の高信頼性、強靭な電源回路で究極のオーバークロックを実現する「N680GTX Lightning」。パワーユーザー垂涎のモデルがついに登場 |
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ようやくの登場となった「N680GTX Lightning」。MSI製グラフィックスカード最上位に位置付けられる「Lightning」シリーズの最新作にして、GeForce GTX 680搭載モデルの決定版といえる製品だ。
グラフィックスカードでは異例の12フェーズもの電源回路で構成された「Unlocked Digital Power」を採用。さらにオーバークロックのボトルネックとなる保護機能やフェーズスイッチを無効化した「Unlock BIOS」や、電力供給を増大させリップルノイズを低減する追加基板「GPU Reactor」を搭載するなど、最強モデルに相応しい妥協のない設計思想がうかがえる。
そのほかにもGPU・メモリ・AUXへの電圧を個別に設定できる「トリプル・オーバーボルテージ」やGPU・メモリ・VRMの温度を個別に測定できる「トリプル・テンプモニター」、GPU・メモリ・PLLの電圧を外部から測定できる「V-Check Points」など、オーバークロックを強く意識した機能面の充実ぶりは枚挙にいとまがない。
そしてそれらの機能を支える高い信頼性は、MSIが定める独自の品質基準「ミリタリークラスIII」」が証明してくれる。同規格は搭載コンポーネントすべてがアメリカの軍事調達規格「MIL-STD-810G」(国防総省制定)をクリアしたという証。過酷な環境下での使用を想定したもので、ヘビーなオーバークロックを考えるユーザーには何よりの助けになるハズだ。
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「N680GTX Lightning」をオープンゲット!中央に見えるのはMSI製オリジナルクーラー4代目となる「Twin Frozr IV」だ。パワフルで静か、「Lightning」の装備には申し分ない |
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強力なポテンシャル発揮には強力なクーラーが欠かせないが、その点「N680GTX Lightning」の搭載するオリジナルクーラー「Twin Frozr IV」は武器になる。2本の8mmφヒートパイプと銅製ベースのヒートシンクを組み合わせ、「プロペラブレードテクノロジ」を採用した100mm径の大型ファン2基を搭載。リファレンスデザインに比べ、GPU温度を16℃低下させつつ6.7dBの静音化を実現している。GeForce GTX 680の特徴でもある自動オーバークロック機能「GPU Boost」はクーラーの冷却能力に依存する点が大きいだけに、パワフルなパフォーマンス発揮には不可欠な存在だ。
なお、「Twin Frozr IV」はPC起動時の数秒間、ファンを逆回転させてヒートシンクのホコリを吹き飛ばす「ダストリムーバブルテクノロジ」に対応。最近の家電よろしく、“勝手にお掃除”機能で継続的な冷却性能を維持できるというワケだ。
そしてその優秀なクーラーを装備する「N680GTX Lightning」は、コアベースクロック1,110MHz(リファレンス:1,006MHz)、ブーストクロック1,176MHz(リファレンス:1,058MHz)にチューンされたオーバークロック仕様。そのほかシェーダ数1,536基、メモリクロック6,008MHz、メモリバス幅は256bitで、GDDR5 2,048MBメモリを実装する。
出力インターフェイスは、DualLink DVI-I×1、DualLink DVI-D×1、HDMI×1、DisplayPort×1。PCI-Express補助電源はオーバークロックによる消費電力増加に対応するため、8pin×2(リファレンス:6pin×2)へと変更されている。
さて、能書きはここまで。次項からは実際にパッケージを開封して「N680GTX Lightning」の外観をチェックしつつ、気になるそのパフォーマンスに迫っていこう。
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