|「Sapphire HD 7850 OC 2GB GDDR5」採用クーラーチェック
「Sapphire HD 7850 OC 2GB GDDR5」の特徴として、VGAクーラーを忘れてはならない。高冷却を謳うオリジナルVGAクーラーは、スペックが横並びになりがちなグラフィックスカードにおいて、差別化を図る重要なファクター。モデル選定において冷却と動作音を司るパーツとして、大きなアピールポイントとなるワケだ。
「Sapphire HD 7850 OC 2GB GDDR5」に搭載されるVGAクーラーには、“極太”と呼ばれるφ8mmの銅製ヒートパイプ2本が使用され、銅製受熱ベースで吸い上げたGPUからの熱を左右に広がるアルミニウム製放熱フィンへ素早く移動。そこに約75mm径のデュアルファンが風を送り込み、オーバークロックされたグラフィックスカードを冷却する。
ここではそのVGAクーラーにスポットを当て、細部をチェックしてみたい。
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「Sapphire HD 7850 OC 2GB GDDR5」に搭載される2スロット占有デザインのVGAクーラー。プラスチックカバーの裏には高冷却を謳うCPUクーラーさながらの冷却機構が隠されていた |
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GPUに接触する受熱ベース部は銅板が貼り付けられ、受熱能力向上に効果が期待できる。ここから2本のヒートパイプが左右の放熱フィンに熱を分散移動させる仕組みだ |
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一般的CPUクーラーで使用されるφ6mmよりも2mm太い、φ8mm銅製ヒートパイプを採用。2スロット(実質VGAクーラーで占有できるのは1スロット分)の限られたスペースで高い冷却能力を発揮させるためには、放熱フィンへの素早い熱移動が重要なファーストステップとなる |
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搭載されるファンの口径は、インペラ部で実測値約75mm。羽枚数はこの手のモデルでは標準的な11枚仕様で、熱が拡散されたアルミニウム放熱フィンを急速に冷却する役割を果たす。冷却ファンの仕事はVGAクーラーにとってのセカンドステップで、継続した安定動作を行うキモとなり、これら一連の冷却工程バランスににより、VGAクーラーとしての能力が決定する |
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|実際に動作させ、冷却能力を検証してみる
「Sapphire HD 7850 OC 2GB GDDR5」で採用されるVGAクーラーの冷却機構を確認したあとは、実際に動作させ、その冷却能力をチェックしてみたい。
今回のテストでは、「3DMark Vantage 1.1.0」で高負荷状態を再現し、GPU温度、アルミニウム放熱フィン温度、動作音、ファン回転数それぞれの数値を計測する。
■GPU温度計測
アイドル時のGPU温度は26℃、高負荷時で55℃となった。このクラスのGPUで(しかもOCモデル)、高負荷時の55℃は優秀。通常使用において、常時高負荷状態が続く事はなく、十分に冷却されているとみていい。なお計測はバラック状態で行っているため、PCケース内部の状態によって数値が上昇することはある程度想定しておこう。
■VGAクーラー温度計測
次にVGAクーラーの箇所別温度計測を行った。計測はアルミニウム製放熱フィンの3箇所。いずれも非接触型温度計を用い、アイドル時と高負荷時それぞれの状態をチェックした。
その結果、アイドル時はC→B→Aの順に温度が高くなっているが、高負荷時はその真逆となるA→B→Cの順に数値が上昇した。実は「Sapphire HD 7850 OC 2GB GDDR5」に限らず、グラフィックスカードの多くはこのような数値を示す。普通に考えればGPUに近いBが最高温度を示すように思いがちだが、受熱ベースに接触するこの付近は、放熱フィンがそれほど熱くならない(放熱フィンの表面に現れにくい)
。むしろ基板末端のメモリおよび電源回路付近の温度上昇が放熱フィンを高温にしているワケだ。
■ファン回転数計測
ファンの回転数をモニタしたところ、アイドル時で1,175rpm、高負荷時で1,854rpmだった。数値は目安として、実際に聞こえてくる音は、高負荷状態になるにつれ、回転数が上昇するとやや“かさつき音”が発生する。しかしながら“うるさい”と思うレベルにはほど遠く、PCケースの中に収めてしまえばほぼ気にならないはずだ。回転数に関しては、数値を気にするよりも、GPUに負荷がかかれば、素直に回転を上げ、安定動作させるための仕事をこなしていると考えればいい。十分に静音タイプのVGAクーラーといえるだろう。
■動作音計測
最後に騒音値を計測してみた。ちなみにテスト環境の室内騒音値は29.2dBAで、騒音計はグラフィックスカードのファンの真上30cmで計測している。
結果アイドル時34.2dBAに対し高負荷時は34.8dBAとなり、両者の数値はほぼ誤差の範囲でしかない。回転数の差が679rpmながら、騒音値で違いが計測できないところをみると、ファン自体の素性も悪く無さそうだ。 |