2018.02.05 00:00 更新
2018.02.04 取材
ROSSO(赤)とNERO(黒)を纏ったスタイリッシュなケーブルを作る、エスエスエーサービスとはオレたちのこと。密かにサプライ業界の天下を狙うアキバのケーブル屋さんが、ケーブルの魅力を解説する「はじめてのケーブル道」。ケーブルに欠かせない「USB(Universal Serial Bus)」のすべてを振り返る「USB全史」の第5回は、USBともType-C絡みで浅からぬ関係がある「Thunderbolt 3」を取り上げます。
どうもこんにちは、ROSSO(赤)とNERO(黒)のカッコいいケーブルでアキバでもお馴染み、エスエスエーサービスの担当Tと申します。「USB全史」と題してUSBのアレコレを総ざらいする連載もいよいよ最終回・・・ただし今回は、厳密にはUSBのお話ではありません。革新的なコネクタとして登場した「Type-C」絡みで浅からぬ関係がある、高速伝送規格の「Thunderbolt 3」を取り上げようと思います。同じコネクタのケーブルを使っているのに別な規格、いったい何がどう違うんだ!と真面目に考えてみようというワケです。
USB規格をざっくり解説する「USB全史」、第5回は「Type-C」コネクタを採用する兄弟のような高速伝送技術「Thunderbolt 3」を特集する。最大40Gbpsのデータ転送、最大100Wの給電に対応する、ハイエンド環境向けの規格だ |
そもそも「Thunderbolt」は、Intelとアップルが共同で開発したPCI-Expressベースの伝送技術でした。第1・第2世代(Thunderbolt/Thunderbolt 2)ではコネクタにDisplayPortを使っていましたが、第3世代の「Thunderbolt 3」になって「Type-C」を採用。USBとは兄弟のような関係になります。
そしてその「Thunderbolt 3」は、給電・データ転送速度も従来から大幅に強化されました。第1・第2世代ではDisplayPortに準拠する「最大給電10W/データ10~20Gbps」だったのに対し、「最大給電100W/データ40Gbps」の大容量高速伝送に対応します。さらに「Type-C」の正式な拡張規格として開発されているので、Thunderbolt機器を繋げばThunderbolt、USB機器を接続すればUSBとして動作するという。なんとも便利な規格が実用化されたものです。
「Macbook Pro(2016)」はThunderbolt 3対応製品の一例で、Thunderbolt 3のフルスペックが利用できるType-Cポートを4基備えている。一方「GPD Pocket」(右)もType-Cポートを持っているものの、コントローラを内蔵しておらず、Thunderbolt 3をサポートしていない |
そんな具合で、実質的なUSB3.1 Gen2の上位互換のような存在になった「Thunderbolt 3」ですが、それだけじゃありません。USB以外の信号を流す「Type-C」の「オルタネートモード」を利用して、Thunderbolt 2、PCI-Express 3.0、Displayport 1.2の伝送機能まで内包することになったんです。「Type-C」の単一コネクタなのに、複数の通信規格をまとめてカバーできるというワケですね。
さらに大容量給電や高速転送、デイジーチェーンなどをサポートするので、従来外部電源なしではUSBで運用できなかった機器を動かすことができます。外付けグラフィックスや液晶ディスプレイはその代表格。これらをケーブル1本で接続できて、なおかつバスパワーで動かせるわけですよ。まさに夢の伝送技術ですよね。
ケーブル1本でノートPCのバッテリー充電と映像出力が行える、Thunderbolt 3対応の34インチ曲面液晶ディスプレイ「CJ791」。フルサイズのPCIeグラフィックスをサポートする「Razer Core V2」のような、外付けGPUもThunderbolt 3でPCと接続する製品だ |
もっとも一部のミドル~ハイエンドマシン以外はThunderbolt 3コントローラを持っていませんから、対応機種は限られます。そもそもヘビーな使い方を除けば、USB3.1 Gen2の範囲で収まりますしね・・・。ただし過去のIntelの発表によると、将来的にCPUにコントローラが統合されて、プロトコルも2018年中に公開されるとか。今後はローエンドクラスのマシンにも普及が拡大していくのかもしれません。
残念ながらエスエスエー製品でThunderbolt 3対応モデルはないものの、定番の赤いケーブルシリーズのType-C版「SU2-TC20R」は人気モデル。USB2.0 充電・同期、QuickChage 3.0/2.0に対応している | 「SU2-TCLW95B」はUSB2.0 Type-Cの両L型充電・転送ケーブルで、Type-C側だけでなくUSB A側もリバーシブル仕様になっている。L字型ケーブルを2種類リリースする必要がなくなり、メーカー的にも嬉しいとか |
さて「Thunderbolt 3」を巻き込んで、複数の規格をサポートすることになった「Type-C」。ただしあくまで「Type-C」というコネクタが規格上サポートしているだけですから、ケーブルのことを考えれば話は複雑です。全機能をサポートするものからそうでないものまで、市場には膨大な種類のケーブルが出回っているんです。
具体的には、コネクタは「USB Type-A(オス) to Type-C(オス)」または「USB Type-C(オス) to Type-C(オス)」があり、バージョンも「USB3.1 Gen2/USB3.1 Gen1(USB3.0)/USB2.0」に分かれていて、「オルタネートモード対応/非対応」に「USB PD対応/非対応」、Thunderboltも「20Gbps/40Gbps/非対応」があって、さらにリピーター(信号増幅回路)の有無まで・・・およそ50通りほどの組み合わせが存在する“Type-Cケーブル”が、ほとんど同じ見た目で存在することになります。
基本的にはパッケージに記載があるものがほとんどかと思いますが、目の前のType-Cケーブルがはたして自分の使いたい機能に対応しているかどうか・・・購入時によく確認する必要があるでしょうね。
エスエスエーのUSB PD対応製品第1弾として発売された、Type-CのL型変換コネクタ「SUCM-UCFL」。USB3.1/2.0、QuickChage 3.0/2.0、USB PD2.0をサポート。オルタネートモードでの動作確認もとれている |
さて、USBとも「Type-C」繋がりで深い関係がある「Thunderbolt 3」を特集した「USB全史」の最終回はここまで。次回の「はじめてのケーブル道」では、ケーブルにまつわる別な話題をご紹介しましょう。
文: エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
株式会社エスエスエーサービス: http://ssa.main.jp/