2020.01.13 12:00 更新
2020.01.13 取材
もうひとつ注目の機能として、ノートPC向けRyzen 4000シリーズとディスクリートのRadeonを組み合わせて利用できる新たなテクノロジー「AMD Smart Shift」が発表されました。これは、APU(CPUおよび内蔵GPU)とディスクリートGPU(Radeon)の接続に利用されるInfinity Fabricから動的な制御をかけ、パフォーマンスとタスクを最適化することで、最大10%のゲーミングパフォーマンスの向上が可能になるというもの。技術的な詳細は語られませんでしたが、CINEBENCHによる3Dレンダリングテストの結果が向上していることから、GPUだけでなくCPUパフォーマンスについても同じような向上が見込めるようです。
「AMD Smart Shift」ONとOFFの違い。最適化によるゲームのフレームレートの向上などが見込めるとしている |
総じてCPUとGPUの組み合わせが限られるとはいえ、ハードウェアの性能を変えずにソフトウェア制御で10%のパフォーマンスアップが見込めるのはおおいに魅力的。最終的にどの程度のパフォーマンスが出せるかは、モバイル版Radeon RX 5000シリーズの出来によりけりなところは多分にあると思われますが、引き続き注目していく必要がありそうな機能だと思いました。なお、「AMD Smart Shift」を利用できる「Radeon RX 5600M」搭載ノートPC「Dell G5 SE」は、2020年第2四半期に発売予定とのことです。
CPUパフォーマンスも向上が見込める様子。第2四半期販売の「Dell G5 SE」では「AMD Smart Shift」が利用できる見込み |
続いて発表されたのが、新型GPUの「Radeon RX 5600 XT」でした。AMDの最新グラフィックスアーキテクチャ「RDNA」を採用したミドルレンジGPUで、同じくRDNAアーキテクチャを採用する「Radeon RX 5500 XT」および「Radeon RX 5700」の中間をカバーする製品です。ターゲットとなるPCゲームの解像度は「Radeon RX 5500 XT」と同じフルHD(1,920×1,080ドット)ですが、多くのゲームタイトルでより高いフレームレートを稼げることから、“Ultimate 1080p Gaming”を謳っています。
Compute Unitは36基、SP数は2,304で、ゲームクロックは1375MHz、ブーストクロックは最大1560MHz。搭載ビデオメモリはGDDR6 6GB。性能は、NVIDIAの競合GPUであるGeForce GTX 1660 Tiを「Call of Duty: Modern Warfare」などのゲームタイトルで平均10fps以上上回るとのこと。AMDの最適化が弱い傾向のある「Apex Legends」のようなタイトルでもわずかにGTX 1660 Tiを上回っていることから、環境次第でGTX 1660 Tiを脅かしうる性能を備えるのは間違いなさそうです。
重量級タイトルのフルHD、最高画質設定ではGTX 1660 Tiに10fps以上の差をつけている | 「Apex Legends」でもわずかにフレームレートがGTX 1660 Tiを上回る |
Radeon RX 5600 XT搭載グラフィックスカードは、ASRock、ASUS、GIGABYTE、MSI、PowerColor、SAPPHIREなどの各ベンダーから1月21日以降に登場予定。希望小売り価格は279ドルとしており、これは初出時のGeForce GTX 1660 Tiと同じ設定です。価格で競合する場合は性能の高さが製品購入の指標になりますが、待望のミドルクラス激戦区に投入されるRDNAアーキテクチャ採用GPUということで、期待して登場を待ちたいと思います。
搭載カードは複数ベンダーから1月21日以降に登場予定。各社オリジナルVGAクーラーを採用した製品で、リファレンスモデルは予定されていない |