エルミタ的業界インタビュー Vol.32

MODDER・門馬ファビオに聞いた。DIY水冷とMODPC、そして「MOMA GARAGE」

2017.09.20 更新

文：エルミタージュ秋葉原編集部 Tawashi

MODPC 門馬ファビオ

編集部
初めてのPCとの出会いは？
門馬ファビオ氏
中学生の時に買って貰ったWindows 95搭載のIBM「Aptiva」でした。40万円くらいはしたと思いますが、今考えると、よく買ってくれたなぁと。
編集部
自作PCはいつからですか？
門馬ファビオ氏
20代の頃ですが、大久保（新宿区）にあった日本在住の外国人向けBTOを扱うショップで働いていました。秋葉原にもよくパーツを買いに行きましたよ。その頃から、自宅のPCも自作マシン。ただ、本格的な知識が身についたのは、その後に就職したPFUです。富士通やDELL、HPなどを使っている法人向けメンテナンスサービスの仕事をしていました。さまざまな案件に対応しなければならず、ハードとソフト両方の知識を学ぶことができました。郵政民営化の際には、全国の郵便局のシステムを変更するという事で、地方にもたくさん出張へ行きました。今となってはいい思い出です。
編集部
何故、ずっと住んでいた練馬（東京）から現在の太田市（群馬県）に移ったのでしょう。
門馬ファビオ氏
結婚などいろいろあって、SUBARUの工場で働くことになったんです。太田といえばスバル町があるくらいのSUBARU城下町。ひたすら、インプレッサのインタークーラーを取り付けていました。重労働ですが、楽しかったです。いろいろな工具を使ってモノを作る喜びを知ったのは、その時ですね。

「MOMA GARAGE」のある東武鉄道「おおた駅」。駅の看板には株式会社SUBARU前と記載されている

編集部
MODPCとの出会いはいつ頃ですか。
門馬ファビオ氏
ある日ウェブを見ていたら、MSIのドラゴンを見つけたんです。コレ、カッコいいじゃないかとなり、どうしても自分のPCケースにデザインしたいと思ったのが始まりです。そこで、いろいろ調べて購入したのが、人気だったCORSAIR「Carbide Air 540」。当時は日本でMODPCをしている人が少なく、主に海外のウェブサイトを参考に独学でアレコレとチャレンジしていました。


記念すべきMODPC第1号。フロントにMSIのドラゴンがデザインされている。チャンバー構造により電源ユニットが隠れている「Carbide Air 540」はMOD化し易かったという

門馬ファビオ氏
その後も空いた時間を見つけては、いくつかの作品を作っていました。そして、「Core V1」をベースとしたMODPCを手掛けた時に、Facebook経由でThermaltakeのPresident & CEOであるKenny Lin氏にメッセージを送ったんです。「これは面白い」とすぐに日本の担当者を紹介してもらい、国内のイベントに招待されたのが公の場に出た初めての機会。それからは、Thermaltakeの依頼で何台もMODPCを作りました。まだSUBARUの工場で働いていましたので、自宅の片隅で作業していました。
編集部
水冷PCやMODDERを職業としてやっていこうと思ったのはいつごろですか。
門馬ファビオ氏
去年の今ごろです。おかげさまでThermaltakeを含め多数のイベントにも呼ばれるようになり、メーカーから依頼されてMODPCを作る機会も増えました。必然的に、自宅での作業に限界を感じていたので、近場でいい作業場がないかと探していたんです。そのタイミングで、兄に「一緒にやらないか」と声をかけたんです。
編集部
門馬マルコスさんは、弟さんを見てどう思っていましたか。
門馬マルコス氏
昨年からMODPCの製作を手伝うようになり、興味がすごく湧いてきたところでした。ですから「本格的にMODPCを仕事として始めるので手伝ってほしい」と話をされた時は嬉しかったですね。

門馬ファビオ氏（右）と6歳年上で実兄の門馬マルコス氏（左）。現在は2人で業務をこなす

編集部
自作PCの経験はどのくらいでしたか？
門馬マルコス氏
ファビオほどではないですが、たまにやる程度でした。
門馬ファビオ氏
今では僕より組む機会が多いかもしれません（笑）。
編集部
ということは、ファビオさんの一番弟子ですね。
門馬マルコス氏
その通り。DIY水冷の組み方もイチから教わりました。弟ですが、先生としては優秀。
門馬ファビオ氏
一緒にここで作業をしていると楽しいんですよ。

カットや彫刻などレーザー加工サービスを実施しているのもMOMA GARAGEの大きなウリ。お客のニーズに合わせて注文ができ、文字やロゴ、写真も繊細に表現することができる。加工料金はデザインやサイズにより異なるが、他のレーザー加工サービスに比べれば「かなり安いはず」とのこと。PCケースのサイドパネルなど、オリジナルデザインに加工したいという人は一度問い合わせてみるといいだろう

普段ふたりは何語で話しているのでしょうか。