エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.676
2018.08.10 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
NZXT「E850」 市場想定売価税抜23,980円(2018年8月10日発売) 製品情報(NZXT) |
優れたデザイン性で人気のPCケース、そしてビジュアルと冷却能力ともに高い評価を受けるオールインワン水冷「Kraken」シリーズが好調のNZXT(本社:アメリカ カリフォルニア州)。その同社から、久しぶりに電源ユニットの新モデルが登場した。
「HALE90 V2」シリーズを発売して以来、国内向けには実に5年ぶりの投入となる新作だ。今年に入り初のマザーボードをリリースするなど、製品のウイングを広げている中で、欠かせないワンピースである電源ユニットも完全リニューアル。プレスリリースにて第一報をお届けした際には、店頭でも歓迎の声が多く聞かれた。はたして“帰ってきたNZXTの電源ユニット”とは、どのような素性の製品なのだろうか。
以前に詳細レビューをお届けした「H700i」をはじめ、シンプルかつスタイリッシュなケースは市場でも高い人気を誇る。合わせて電源もNZXT製に揃えたいというユーザーも多いハズだ | 2013年7月に発売された「HALE90 V2」シリーズ。当時は珍しいホワイトカラーの電源として話題になったが、それ以降電源ユニットで目立った新製品のリリースがないまま今日に至る |
フルモジュラータイプのGOLD認証電源「E」シリーズ。国内向けには650Wと850Wモデルが投入される |
それでは、今回の主役であるNZXTの電源ユニット「E」シリーズを概要からチェックしていこう。グローバルでの容量ラインナップは500W/650W/850Wの3モデルだが、国内向けには650Wの「E650」と850Wモデル「E850」の2モデルが発売されることになった。
80PLUS GOLD認証を取得したフルモジュラータイプの電源ユニットで、基本設計はSeasonicの人気モデル「FOCUS Plus Gold」がベースになっている。ただし単にOEM供給を受けているわけではなく、同社との共同開発によりTexas Instruments製DSP(デジタルシグナルプロセッサ)などの機構を新たに実装。総合ユーティリティ「CAM」を使用した、リアルタイムのモニタリングが可能になった。
具体的には、3系統の+12Vをはじめとした12V/5V/3.3V各電源ラインの消費電力や内部温度、電源を投入してからの稼働時間など、多彩な情報の表示に対応。さらに過電流保護回路(OCP)の調節機能まで備えている。
Seasonicの人気モデルをベースに、TI製のデジタルシグナルプロセッサを内蔵。マザーボードとUSB接続することで、リアルタイムに挙動をモニタリングできる |
そうしたオリジナルのモニタリング機能に加えて、「FOCUS Plus Gold」シリーズ譲りの内部設計も見逃せない。内部モジュラー側の背面パネルとPCBを銅板によってダイレクト接続したケーブルレス設計により、内部を走るケーブルが大幅に削減。きわめて整った内部構造に合わせて、作動時の出力電力の品質改善というメリットを手に入れた。
また、出力電圧の負荷レギュレーションにおける電圧変動幅を3%以内に抑えた、高い安定性も魅力だ。コンデンサは信頼性と耐久性に優れた日本製の105℃品が採用され、MTBFは100,000時間以上。保証期間も10年間とトップクラスの長期保証が提供される。
そのほか、FDベアリング(流体動圧軸受)を採用した120mm口径の冷却ファンは、出力100W未満で回転を停止するセミファンレス動作に対応。「CAM」を使用すれば「サイレントモード」「パフォーマンスモード」「回転数固定モード」による回転モード選択、さらに「カスタムモード」では詳細なファンコントロールが可能だ。