エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.788
2019.10.21 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
エルミタ的速攻撮って出しレビューの常連であるPhanteks。新製品のリリーススパンが比較的長く、じっくり作り込まれるとあって、どれも個性的かつ独走的な設計が特徴だ。今回の主役「ENTHOO LUXE 2」も例外では無く、COMPUTEX TAIPEI 2019の会期に合わせて行われた、Grand Hyatt Taipeiのプライベートルームによる内覧会で披露された自信作だ。
Phanteks「ENTHOO LUXE 2」 BLACK(型番:PH-ES719LTG_BK)/ GREY(型番:PH-ES719LTG_AG) 市場想定売価税込32,800円(2019年10月16日発売) 製品情報(Phanteks) |
エルミタ読者にはお馴染みのプロダクトマネージャー・Boon Tuoh Khor氏のアイデアが詰まった「ENTHOO LUXE 2」は、初代「ENTHOO LUXE」の流れを汲む大型筐体。Phanteksと言えば、2011年秋にハイエンド向け空冷クーラー「PH-TC14PE」で自作PC市場に参入。PCケースはその2年後となる2013年11月、詳細検証をお届けした記念すべき第1号「Enthoo Primo」がリリースされている。
ここで「Enthoo Primo」のフロントパネルデザインを振り返ってみよう。よく見ると最大の特徴である左右非対称デザインが「ENTHOO LUXE 2」に似ている事に気が付くだろう。さらに検証を行った初代「Enthoo Luxe」(2014年8月)が採用した魅せる要素である、フロントからトップにかけてのRGBイルミネーション(内蔵LEDストリップ)も継承されている。
「Enthoo Primo」(画像左)と「Enthoo Luxe」(画像右) |
いずれも印象に残る佳作だが、両者の特徴をミックスし、イマドキの設計に仕立て直し完成させたのが「ENTHOO LUXE 2」なのだ。いずれも検証を行った筆者にとっては、否が応でも期待が高まる新作。今回は2色のラインナップからBLACK(型番:PH-ES719LTG_BK)をチョイスし、進化したハイエンドPCケースをじっくり検証してみたい。
こちらは色違いのGREY(型番:PH-ES719LTG_AG)モデル。外装だけでなく、内装のカラーリングにも違いがある |
ここで今年5月に台北で行われた内覧会レポートを簡単に確認しておこう。新型PCケース「ENTHOO LUXE 2」におけるキーワードが3つ掲げられている。ひとつ目の「ULTIMATE COOLING」は、高い冷却能力がアピールされ、特にDIY水冷の構築がベースに設計が最適化されている。
2つ目の「ULTIMATE WORKSTATION」は、広い内部容積を大いに生かしたストレージの収納力。そして3つ目の「POWER OF 2 IN 1」は、独立したデュアルシステムが1台の筐体内で構築できるというもの。思えば今年1月に検証を行った「ENTHOO EVOLV X GLASS」も天板にMini-ITXマザーボードが搭載できる、デュアルシステム対応のPCケースだった。これと同じくする仕掛けは、ストリーミング環境またはホームサーバーの構築を可能にするものであろう。
実機に触れる前に、スペック表から製品の概要を把握しておこう。フルタワーにカテゴライズされる大型筐体の外形寸法は、幅240mm、奥行き570mm、高さ595mmとされ、重量は14.3kgにもおよぶ。対応マザーボードはSSI-EEB、E-ATX、ATX、MicroATX、Mini-ITXで、スチール、アルミニウム、強化ガラス、ABS樹脂と、要所で性格の異なる素材を使い分けている。
各有効スペースは、グラフィックスカードが長さ最大503mmまで、CPUクーラーが高さ195mmまで、拡張スロットは8+3段とされる。なおドライブベイや冷却ファンの各レイアウトは、検証を進めながらじっくり解説するとしよう。
なお外装パッケージサイズは、幅684mm、奥行き668mm、高さ327mm(メーカー表記)で、付属品や緩衝材を含めた総重量は16.9kgにもおよぶ。重量と外寸から、店頭購入を希望するなら大型カートの用意が必要だろう。