エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.851
2020.04.10 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
一般的なキーボードとの比較で、いわゆる“75%サイズ”と呼ばれる配列を採用。シリーズで最も多くのキーを搭載している |
段階的に搭載キーを増やしてきた「Barocco」シリーズだが、最新作の「Barocco MD770」は85キー英語配列を採用。矢印キーや一部の機能キーに加え、ファンクションキーも独立実装されるに至った。いわゆる75%タイプキーボードと呼ばれるレイアウトだ。Fnキーとの同時押しを要求される機会が減ったことで、少々のサイズアップと引き換えに、より使い勝手は向上している。
なお、キーピッチは一般的なフルキーボードと同じ19mmであり、コンパクトモデルにありがちな入力の窮屈さとは無縁だ。
左右ユニットの“分割ルール”は、直近のモデルである「Barocco MD650L」を踏襲。左ユニットは、「F6」および「6」~「B」のラインで分割されている |
レイアウト上で最大のトピックは、最上段に追加されたファンクションキー(Fキー)。半角/全角切り替えに使用する「`」キーも独立実装された | Windowsキーは任意で無効化することもできる |
「F7」および「7」~「N」のラインで分割された右ユニット。マクロ登録などカスタマイズ用のキーやインジケータが集中している関係で、こちらが“親機”扱いになる |
独立実装されている矢印キー。普段使いには、やはり矢印キーがあった方が便利だろう | 特定キーとの同時押しによる機能拡張が可能な「Fn」キー |
右端には、「Derete」や「Page Up/Down」キーなど主要な機能キーを固めて搭載。矢印キーの近くには、マクロ登録などに使用する「Pn」キーを備えている |
コンパクトキーボードの例にもれず、「Barocco MD770」も「Fn」キーと特定キーを組み合わせた機能拡張に対応。マルチメディアキーや機能キー(「PrintScreen」や「Scroll Lock」など)の入力、さらに基礎配列の切り替え(QWERTY/Dvorak/Colemak配列)が可能だ。
さらにこれら“初期レイヤー”に加えて、マクロ登録用に3層のレイヤー「レイヤー1/レイヤー2/レイヤー3」設定を搭載している。「Pn」キーと指定のレイヤーキーを組み合わせ、ハードウェアの「マクロプログラミングエディットモード」を起動。ほぼすべてのキーを対象に任意のキーやマクロ機能を割り当てられる。
具体的な設定方法は「Barocco MD600」や「Barocco MD650L」における解説と同様だが、文字と文字の間にレイテンシ(15ms/0.1s/0.5s)を挿入することもできるなど、かなり高度なカスタマイズをハードウェアレベルで設定できる。
オンザフライのマクロ登録機能「マクロプログラミングエディットモード」を使用する際は、右上のインジケータの表示を見ながら設定を行う |
キースイッチはCHERRY MXを採用。編集部に届けられた評価機には、押下圧55cN(1cN=0.98g重)のタクタイルスイッチMX茶軸が搭載されていた |
「Barocco MD770」が搭載するのは、メカニカルスイッチのベンチマーク的存在でもあるCHERRY MXスイッチだ。タクタイルタイプの茶軸(55cN)とクリア軸(65cN)、いわゆるClickyタイプの青軸(60cN)、リニアタイプの赤軸(45cN)と静音赤軸(45cN)をラインナップしている。
また、新たに設計されたという、2色成形のキーキャップも秀逸。耐摩耗性・電気特性に優れたPBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂を採用、キャップと文字部分で2色の樹脂を組み合わせている。物理的に摩耗で消えることがない上に、非常に肉厚で良質な打鍵感に一役買っている。
キャップと文字で2つの樹脂を使う、2色成形のキーキャップ。削っても“金太郎飴”のように文字が現れる仕様のため、長期間使用しても文字が消えることがない。コストのかかったプレミアムなキーキャップだ |