エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.882
2020.06.26 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
Deepcool「DQ850-M-V2L」 市場想定売価税込14,850円(2020年6月現在) 製品情報(Deepcool) |
あのDeepcoolが電源ユニットを?と思ったユーザーも少なくないだろう。Deepcoolと言えば日本では水冷で名高いメーカーであり、「CASTLE EX」シリーズに代表される優れたオールインワン型水冷ユニットは、市場で高い評価を獲得している。さらに「ASSASSIN III」のリリースにより、空冷クーラーでも最高峰の実力を証明。すっかり冷却ソリューションのプロフェッショナルとして、その地位を確立するに至った。
よく冷える上に格安とあって、コストパフォーマンス良好なDeepcoolの水冷は高い人気と認知度をもつ。TDP280W対応の空冷クーラー「ASSASSIN III」も注目を集めた製品だ |
そのDeepcoolが日本市場向けに初めて投入する電源ユニットが、今回の主役である「DQ-M-V2L」シリーズだ。日本においては新参ながら、海外ではだいぶ前から電源ユニット製品のリリースを続けており、決して不慣れな分野ではない。洗練されたデザインで国内のファンを増やしつつあるPCケースとともに、長い年月をかけてノウハウを積み上げてきた。
馴染みのない新顔かと思いきや、実は円熟した技術によって生み出されたプロダクト。まさに満を持しての日本市場投入というワケだ。
海外で実績を積み上げながら、日本では電源ユニットの展開がなかったDeepcool。その第1弾モデルに選ばれたのが「DQ-M-V2L」シリーズだ |
その「DQ-M-V2L」シリーズについて、手始めに製品の概要から把握しておこう。80PLUS GOLD認証を取得したフルモジュラー仕様という、市場でも特に売れ筋として注目されているグレードの電源ユニット。容量ラインナップは650W/750W/850Wの3モデルだ。
まず特筆すべきはその価格設定。まだ発売したばかりで価格のこなれていない“初物”ながら、同クラス(80PLUS GOLD&フルモジュラー)における最安水準で市場に投入された。Deepcoolの人気プロダクトであるオールインワン型水冷ユニットは、安価ながら高性能という際立つコストパフォーマンスで鳴らしているが、電源ユニットも同じ戦略で攻める方針らしい。
高信頼性を志向する製品ながら、オールインワン水冷同様に価格競争力も高い。特別な750Wモデルの「DQ750-M-V2L WH」は、貴重なホワイトカラーで独自の立ち位置を狙っている |
もちろん価格だけがトピックではなく、高信頼性の設計も製品の大きな特徴だ。高品質モデルの定番として、日本メーカー製のコンデンサを100%採用。そして先ほど価格の話をしたばかりだが、メーカー保証はなんとクラス最長の10年間。製品の信頼性に対する、Deepcoolの自信のほどがうかがえる。ちなみにその内部構造もかなり洗練された設計になっているのだが、そのあたりは後の分解セッションで詳しくチェックしていこう。
そのほか、冷却機構にはFluid Dynamic Bearing(FDB/流体動圧軸受)採用の120mmファンを搭載。低騒音・低振動を特徴とするファンで、動作モードはシステム負荷に連動して回転数を調整する常時回転スタイルだ。
なお今回のレビューでは、株式会社アスクより850Wモデルの「DQ850-M-V2L」を借り受け、検証に使用している。その基本仕様については、以下の表を参照してほしい。