エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.926
2020.10.30 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
2020年のここまで、PCケースの秀作が少ないように感じる。国内で販売される主なモデルは、ほぼ自動的に編集部の資材置き場へ容赦なく積み上げられていくワケだが、心に留まる(または欲しくなる)PCケースはどれほどあったか。今年も残すところ2ヶ月あまり、このままでは「不作だった」と言わざるをえない。
そんなぼやきをよそに、今回取り上げる「S100 TG」シリーズは、選択肢が少ないミニタワーの有望株。10月23日に配信したプレスリリース記事では多くのアクセスを集め、注目度の高さを知った。Thermaltakeと言えば、ミドルタワーPCケース「Versa H26」の爆発的人気は未だ継続中だが、ここまでウケた理由は、売価と不釣り合いな高い完成度にある。「S100 TG」シリーズも事によっては、これに続くヒット作になる可能性を大いに秘めている。
Thermaltake「S100 Tempered Glass Snow Edition」(型番:CA-1Q9-00S6WN-00) 市場想定売価税込6,020円(2020年10月30日発売) 製品情報(Thermaltake / 株式会社アスク) |
スッキリとシンプルなフロントパネルが印象的な外観は、長く売れ続ける定番モデルの必須要素。近頃は低価格路線のイメージが強いThermaltakeだが、税込約6,000円は昔のそれとは違い、1万円以上のミドルレンジと何ら遜色がない。左側面の強化ガラスに魅せる要素を残しつつ、標準装備品に発光パーツが一切搭載されていない点に好感を持つ自作派は少なくないだろう。確かに需要は高いものの、発光イルミネーションが不要というニーズは確実に存在する。それを長らく無視し続けてきた自作PC市場だが、そろそろ見直す頃合いだろう。少なくとも筆者に「S100 TG」シリーズが新鮮に映る理由は、そんなところにある。
なお本稿で取り上げるのは、ホワイト色「S100 Tempered Glass Snow Edition」(型番:CA-1Q9-00S6WN-00)だが、カラーバリエーションとして、ブラック色「S100 Tempered Glass」(型番:CA-1Q9-00S1WN-00)も用意されている。落ちついたマットブラックも捨てがたく、宣材画像からはミニタワー以上の存在感がある。こちらも発光パーツは装備されていない。
S100 Tempered Glass(型番:CA-1Q9-00S1WN-00) 市場想定売価税込6,020円(2020年10月30日発売) 製品情報(Thermaltake / 株式会社アスク) |
ここではスペック表をもとに、Thermaltake「S100 TG」シリーズの概要を把握しておこう。既にご案内通り、対応フォームファクタはMicroATX、Mini-ITXで、ミニタワーに分類される。ミニという響きから拡張性を懸念する声は少なくないだろう。しかし、構成パーツの高性能化や大容量化により、実用レベルにおけるATX規格との性能差は思うほど大きくない。パーツ選定により、セカンドPCではなく、メインPCとしても十分にパワフルなマシンを組み上げる事ができるはずだ。なお外形寸法は幅220mm、奥行き441mm、高さ411mmで、主素材がスチール、副素材にプラスチック(ABS樹脂)および強化ガラスを使用し、重量は6.1kgとされる。その他の詳細については、この後すみずみ解説していこう。