エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.944
2020.12.16 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
標準装備のヒートシンクはNVMe SSDの実力を引き出せているだろうか |
最後は「X570 PG Velocita」が標準装備するM.2用ヒートシンク「M.2 Armor」の実力を検証し、実動インプレッションを締めくくろう。検証用SSDとして、PCI-Express4.0に対応するCFD「PG3VNF」シリーズの1TBモデル「CSSD-M2B1TPG3VNF」を用意し、ヒートシンクの有無による「CrystalDiskMark 7.0.0」実行中の挙動を比較する。
なおテストでは、データサイズは16GiB、テスト回数を9回に設定し、3回連続でベンチマークを実行している。
ヒートシンク装着時:16GiB(MB/s) | ヒートシンク装着時:16GiB(IOPS) |
「CSSD-M2B1TPG3VNF」の公称スペックは、シーケンシャル読込5,000MB/sec、書込4,400MB/sec、ランダム読込600K IOPS、書込500K IOPS。シーケンシャル・ランダム性能ともに、おおむね公称値に匹敵するスコアをマークしており、PCI-Express4.0対応SSDのポテンシャルをうまく引き出せている印象だ。転送速度のグラフ波形も乱れがなく、気になるコントローラの発熱も70℃以下に抑えられている。
ヒートシンクなし:16GiB(MB/s) | ヒートシンクなし:16GiB(IOPS) |
その一方でヒートシンクを取り外した状態では、目立ってスコアが低下。転送速度のグラフを確認すると、温度が80℃を超えるタイミングでサーマルスロットリングが発生し、本来のスピードを維持できていない。PCI-Express4.0対応SSDはハイパフォーマンスな一方で発熱も大きいため、「M.2 Armor」のような優秀な冷却機構は不可欠と言える。
肝心のCPUが品薄だったこともあり初動に派手さはなかったものの、「X570 PG Velocita」は、ここしばらくで間違いなく“アタリ”に属する秀作マザーボードだ。多少のオーバークロックではまったく揺るがない堅牢な電源設計に加え、ゲーミング向けのKiller NICで統一したデュアルネットワークをはじめ、ハイエンドらしい機能で固められている。高性能なRyzen 5000シリーズをガッチリ受け止められる実力と、魅力的な機能がしっかり揃っているというわけだ。
それでいて価格はAMD B550マザーボードの高価格帯と競るレベルであり、同クラスの製品と比べてお買い得感が極めて高い。AMD X570チップ搭載モデルらしい余裕のある構成も好印象で、排他条件のないPCI-Express4.0ストレージ周りなど、全体的な使いやすさはユーザーを選ばない。これからRyzen 5000シリーズをベースにハイエンドなゲーミングマシンを組むなら、ぜひ候補に入れておきたい1枚だ。品薄感が強かったCPUの在庫状況も改善しつつあり、今後その存在感はさらに高まっていくだろう。
協力:ASRock Incorporation