エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.977
2021.03.27 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
Phanteks「PH-P1000GC」 実勢売価税込29,800円(2021年3月現在) 製品情報(Phanteks) |
まず最初に、今回の主役である「Revolt PRO」シリーズが極めて異色の電源ユニットである、という点に触れておく必要があるだろう。基本は80PLUS GOLD認証を取得したフルモジュラー仕様の製品だが、なんと他の電源ユニットを連結できるという唯一無二の特徴を備えている。
PCケースだけでなく、電源ユニットにも異色のラインナップを抱えるPhanteks。「Revolt PRO」は、珍しい連結機能を備えたモデルとして市場に投入された |
これまでも、1つのシステムで2基の電源ユニットを運用しようというアイデアは、いくつか存在していた。その手段としては、2基の電源ユニットに接続して同時使用するための連動ケーブル、あるいはリレーコネクタといった類が思い浮かぶ。これらはいわば“並列”で2つの電源ユニットをシステムに接続する方法だが、この「Revolt PRO」には異なるアプローチが採用されている。
具体的には、モジュラーコネクタにマザーボード上と同じATX 24pinと8pinコネクタを搭載。「Revolt PRO」に他の電源ユニットを直結し、システムに“直列”で2基の電源ユニットを接続することができる。これはPhanteksの特許技術が実現したもので、同様のアプローチを採用した電源ユニットとなると、およそ聞いたことがない。
ちなみにPhanteksは、1基で2台のシステムへ給電可能な“デュアルシステム電源”の「REVOLT X」シリーズも手がけているが、それとは真逆の機能だ。
マザーボードと同じ24pinと8pinがモジュラーコネクタの中に混じっている。ただし連結状態でPCケースに組み込むには、当然ながら2基の電源搭載スペースが必要だ |
もっとも他メーカーが気軽にこうした製品を作れないのも当然で、2基の電源ユニットをスマートに運用しようと思えば、デュアル電源に対応する「ENTHOO」シリーズのような特殊なPCケースが必須。他にはないPCケースを多く手がけてきた、Phanteksならではと言えるプロダクトだ。
そして2基の電源ユニットを連結することによるメリットは、容易に電源容量の拡張が可能ということ。一口につき最大1500Wまでしか使えないACコンセントの限界を突破し、一般家庭で2000Wクラス(かそれ以上)の電源環境を手に入れることもできる。さらには連結運用による電源の冗長化まで可能と、コンシューマ向け電源ユニットとは思えない機能が満載。まさに“変態電源”という褒め言葉(?)が相応しい製品だ。
「Revolt PRO」シリーズの特殊性を把握した上で、そもそもの電源ユニットとしての仕様を確認しておきたい。80PLUS GOLD認証のフルモジュラータイプという点は先ほど触れた通りで、容量ラインナップは1000Wと850Wの2モデル。老舗の電源専業メーカーであるSeasonicと共同開発された製品でもあり、同等のハイレベルな信頼性が期待できる。
内部のコンデンサには日本メーカー製の105℃品を100%採用するなど、吟味された高品質コンポーネントは信頼性の証。MTBFは100,000時間とされ、保証期間はクラス最長の12年間だ。
Seasonicとの共同開発で生み出された、高い信頼性が魅力。気になる内部構造は、後ほどの開封セッションで隅々までチェックしよう |
また、冷却機構はベアリングにFDB(Fluid Dynamic Bearing/高性能流体動圧軸受)を採用する135mm口径の静音ファンを採用。負荷40%以下ではファン回転を停止させる、セミファンレス機能の「Hybrid Mode」も備えている。この機能は背面ボタンで切り替えが可能で、オフにした場合は自動回転数調整モードで動作する仕様。ファンを停止させず、常時稼働で運用したいという信頼性重視のユーザーにも嬉しい機能だ。
なお今回は、シリーズの1000Wモデル「PH-P1000GC」を借り受け、検証を進めていく。
シンプルで落ち着いたデザインのパッケージ。背面にさり気なく連結機能が図解されているが、特殊な機能だけにもう少しアピールしても良いのではないだろうか |