エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1014
2021.06.24 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
NVMe SSDを運用するならほぼ必須のヒートシンクを搭載していないマザーボードだが、ヒートシンク付きSSDを組み合わせれば問題なしだ |
最後は「B550M AORUS ELITE」が搭載するM.2スロットのパフォーマンスをチェックしておきたい。CPU直結のスロットはPCI-Express4.0に対応しており、最新のNVMe SSDが搭載できる。唯一のネックは専用ヒートシンクが標準装備ではない点だが、そこはGIGABYTE「AORUS Gen4 7000s SSD 2TB」のようなヒートシンク付きSSDをチョイスすることで対処が可能だ。
なお今回の検証では、負荷テストとして「CrystalDiskMark 8.0.2」をデータサイズ64GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続で実施。その際の転送速度と温度の推移を「HWiNFO 7.0.4」を使用して計測した。
「AORUS Gen4 7000s SSD」の公称スペックはシーケンシャル読込7,000MB/sec、書込6,850MB/secで、ほぼスペック通りかそれ以上の転送速度を発揮している。SSDに搭載されたヒートシンクがしっかり仕事をしている証拠だ。
しかし連続実行した際には、コントローラ温度が75℃にタッチしてサーマルスロットリングが発生。2回目以降のグラフ波形も乱れている。CPUクーラーがオールインワン型水冷ユニットで、なおかつバラック状態のためケースファンのエアフローが存在しないなど悪条件が重なった結果だろう。
ともあれここまでのデータを連続で書き込むシチュエーションは稀であり、組み込む際にエアフローに配慮することで、十分にフルパフォーマンスの発揮は可能だ。もっとも、それもヒートシンクの搭載が前提になるため、組み込むならヒートシンク付きSSDをチョイスしよう。
続々と登場する新モデルに押し負けることなく、いまだ第一線で高い人気を誇っているのは、「B550M AORUS ELITE」が極めてバランスの取れたマザーボードだからだ。リーズナブルにPCI-Express4.0環境が構築できるAMD B550搭載モデルの中でも、格安と言っていいレベルの販売価格。さらにちょっとしたオーバークロックも楽々こなしてくれる、優れた信頼性も備えている。そもそものターゲットが構成控えめのエントリー~ミドル帯ということもあり、MicroATXモデルゆえの限定された拡張性も気にならないというわけだ。
再三言及しているように、M.2ヒートシンクを持たない点や平凡なネットワーク機能などは、「B550M AORUS ELITE」にとって物足りない要素と言えるだろう。しかしパーツチョイスで条件をクリアできたり、2.5/10ギガビットLANなどハイエンド級の機能を必要としない層にとっては、必ずしもデメリットにはならない。むしろ余計な機能はいらない、というベーシックなマザーボードに対するニーズは確実にあり、そうしたユーザーにとって限りなくベストな選択肢になり得る。
現状のグラフィックスカードに手が伸びないなら、APUを組み合わせた構成もアリ | さらに安価なB550マザーボードを探しているなら、1万円を切る「B550M S2H」も見逃せない |
この夏、Ryzen 5000シリーズの在庫復活を機に手頃な出費でマシンを組もうという向きには、まさにうってつけ。グラフィックスカードの価格が落ち着くまでの“繋ぎ”としてRyzen 4000Gシリーズを組み合わせるといった、アレンジ構成にも応えてくれる。コストパフォーマンス志向の鉄板モデルとして、まだまだ息の長い活躍が期待できそうだ。
協力:GIGABYTE TECHNOLOGY