エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1025
2021.07.21 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
最後は「MEG Z590 ACE GOLD EDITION」がM.2 SSD用に搭載している、専用ヒートシンク「M.2 Shield Frozr」の実力をチェックしておこう。PCI-Express4.0に対応するCFD「PG4VNZ」シリーズの500GBモデル「CSSD-M2M5GPG4VNZ」を組み込み、「CrystalDiskMark 8.0.4」を実行した際の挙動を検証する。
なお検証にあたっては、「CrystalDiskMark 8.0.4」のデータサイズを64GiB、テスト回数を9回に設定して3回連続で実施。その際の転送速度と温度の推移を「HWiNFO」を使用して計測した。
ヒートシンク装着時 | ヒートシンクなし |
「CSSD-M2M5GPG4VNZ」の公称スペックは、シーケンシャル読込6,500MB/sec、同書込2,850MB/secで、ヒートシンク装着時には概ねそれに近い転送速度が出ている。しかしヒートシンクを取り外した状態では転送速度がガタ落ち。大幅にパフォーマンスが低下してしまった。
ベンチマーク中の挙動をグラフから見ていくと、ヒートシンクがない状態ではコントローラの温度が70℃付近を行ったり来たりという状態で、サーマルスロットリングにより転送速度が大きく落ち込んでいる。しかし「M.2 Shield Frozr」を装着した状態であれば、温度は常に60℃台に収まっており、大きな負荷が連続でかかっているにも関わらず性能低下も最小限だ。PCI-Express4.0対応の最新SSDも不安なく組み込むことができる。
ベースモデルの「MEG Z590 ACE」と比べて、あまりに違う質感や風格、そして機能面における差のなさ。ここまでの「MEG Z590 ACE GOLD EDITION」に対する鑑賞や検証を踏まえ、あらためて2つの要素が浮かび上がってきた。それでいて両者には約3万円の価格差があるわけだが、そもそも「GOLD EDITION」がコストを度外視して作られたモデルであることから、価格について論じるのはナンセンスだろう。
MSIにとっては、いわばメモリアルイヤーにおける豪華な打ち上げ花火。高級感を演出する類を見ないカラーリングやリアルな金箔の眩しさがもたらす美しさにこそ、「GOLD EDITION」の意義がある。おそらくワンショットで終息になるであろうことを考えれば、国内わずか60台という希少価値もまた、所有欲を満たしてくれる要素だ。こうした価値に共鳴できるかどうか、それが「GOLD EDITION」のオーナーたる資格になるだろう。
コスト論争と決別したところで、あえて気になる点を挙げるとすれば、他のパーツとの組み合わせをまったく考慮していない配色だろうか。独特すぎるカラーリングであるがゆえ、何も考えずごく普通のパーツと組み合わせてしまっては浮いてしまうこと必定。エスタブリッシュメントな存在ならではの扱いが必要というわけだ。
いま相性の良さそうなパーツとして思い浮かぶのは、同じく“ラグジュアリーな輝き”をウリにするG.SKILLの「Trident Z Royal」シリーズくらい。MSIによれば「今後こうしたモデルを作るかは分からない」とのことだが、ここはぜひグラフィックスカードでも「GOLD EDITION」を投入するべきではないだろうか。そこへさらに水冷ユニットの「GOLD EDITION」も参戦すれば、なにやら大変なシロモノが出来上がる気がする。
協力:エムエスアイコンピュータージャパン株式会社