エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1052
2021.09.12 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最終セッションでは、借り受けた「Torrent Black TG Light Tint」(型番:FD-C-TOR1A-01)の評価サンプルをベースに、実際にPCを組み込んでみる。近頃のFractalらしく、内外装共に独自のギミックが満載。これを存分に使いこなすには、ある程度の自作経験が必要かもしれない。ただ普通に組み込む分には内部容積も広く、作業はしやすいはずだ。入門機としてはややハードルが高いものの、必要箇所を拡張し、じっくりと熟成させていくには、最適なベース筐体だろう。
まずはマザーボードを搭載してみよう。検証にはGIGABYTE「B550 VISION D」を用意。305x244mmのATX規格マザーボードだ。
正面左側面開口部は広く、ドライバーの作業を邪魔するものがないため、スムーズに作業は進行。搭載済みスタンドオフにマザーボードを合わせ、Mounting Screw (6-32)を使い、位置決め用のピンを除き、8箇所をネジ留めをしていく。E-ATXをサポートするマザーボードトレイとあって、ATX規格マザーボード搭載後の周辺クリアランスは、上部が約30mm、右手180mmファンまでが約175mm、下部が約15mmだった。
マザーボードを搭載したところで、CPUクーラーの有効スペースを計測する。方法はソケットにCPUを装着し、その上にレーザー距離計を設置。読み取り用のマーカーを強化ガラス製サイドパネルの内側に貼り付け、数値を読む。なお有効スペースは公称高さ188mmだが、実際の計測では186mmを示した。2mmは誤差の範囲だろうし、さほど気にする事はない。
公称188mmのところ実測では186mmだった。180mmクラスのCPUクーラーと言えば、大型サイドフロー型も選択可能。エアフロー重視の筐体に、ハイエンド志向の空冷が搭載できる |
さらにマザーボードトレイ背面から、CPUクーラーメンテナンスホールもチェックしておこう。計測では幅約195mm、高さは約140mmだった。やや上下方向がタイトに見えるが、AMD Socket AM4マザーボードの標準バックプレートが全て露出できているため、問題はないだろう。
エアフローを優先した結果、トップマウントになった電源ユニット搭載スペース。一見”都合により”上部に追いやられたようにも思えるが、実際のところメリットばかり。マウント作業はプラスチック製トップカバーを外すところから始まるが、天井が開放状態になるため、電源ユニット固定後でもフルモジュラー式の抜き挿しがしやすく、組み込みと増設を容易に行う事ができる。
搭載手順はほぼ説明不要。開放状態のマウントスペースへ、電源ユニットの冷却ファンを下側に向けた状態で背面からインチネジ留め。搭載テストには奥行き150mmで先日詳細検証をお届けしたばかりのFractal Design「Ion+ 2 Platinum 860W」(型番:FD-P-IA2P-860)を用意したが、フルモジュラー式のコネクタは”後付け”でもまったく問題なし。有効スペースは公称で奥行き230mmだが、フラットな部分で約83mm、傾斜部分を含めると約140mmの空きが確認できた。
Fractal曰く「PSUシュラウド」と呼ばれる搭載スペースは、本体設置は230mmまでだが、前方が傾斜しているため、余ったケーブルを多少無造作に放置しても収める事ができそうだ |