エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1083
2021.12.08 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
第12世代Intel Coreプロセッサ上位モデルに推奨される、オールインワン型水冷ユニットを搭載してみよう。検証には360mmサイズラジエターを備えるDeepcool「CASTLE 360EX A-RGB」(型番:DP-GS-H12W-CSL360EX-AR)を用意。CG560で360mmサイズラジエターが搭載できるのは前面のみ。つまり標準装備のアドレサブルRGB対応120mmファン3基は、おのずと取り外す事になる。CG560の象徴的な部分だけに多少気が引けるものの、トップパネルに移設して活用する手もある。
搭載後の空きスペースは十分だけに、高さ71mmのポンプ一体型ウォーターブロックがコンパクトに見える。冷却性能はもとより、各構成パーツの居住性が犠牲にならないだけに、オールインワン型水冷ユニットのメリットは高い |
ボトムカバー前方は奥行き約75mm、幅約160mmにカットされ、天板を貫通して25mm厚冷却ファンと27mmラジエターが搭載できる |
今回のテストでは、シャーシ前面パネル→ラジエター→冷却ファン(ラジエター側吹きつけ)の順で取り付けたが、セオリー通り前面パネル→冷却ファン→ラジエターも可能。このあたりは賛否が分かれるところ |
前面パネルの構造上、冷却ファンはシャーシ前面裏側に固定する事になる |
ウォーターブロックに接続されるチューブの向きを右側に変更。左側だとウォーターブロック接続のケーブル(電源とARGB)が短く、背面のファンハブまで届かないトラブルが発生。仕様上、マザーボードのコネクタに接続する以外は想定されていないようだ |
380mmまでの有効スペースに、長さ318.5mmのグラフィックスカードを搭載してみよう。用意したのはASUS「ROG-STRIX-RTX3080-O10G-GAMING」で、VGAクーラーには3連Axial-techファンを搭載。2.9スロット占有の誰もが認めるハイエンドグラフィックスカードだ。
とは言え、既にフロント部内側には27mm厚のラジエターと25mm厚の冷却ファンが占有しているため、計算上では残り有効スペースは328mmになる。318.5mmの「ROG-STRIX-RTX3080-O10G-GAMING」を装着すると、カード末端から冷却ファンまでは20mm弱。ハイエンド志向のグラフィックスカードと前面にラジエターを固定する場合は、両者の寸法を念頭にパーツ選びをする必要がある。
見るからに両者はギリギリの位置関係ながら、接触することはなくなんら問題はなし。とは言え、前面にラジエターを搭載する場合は、長さ300mm程度のグラフィックスカードを選びたい |
奇しくもCG560の検証開始と第12世代Intel Coreプロセッサ(Alder Lake-S)の販売開始が重なった。編集部では主要スタッフがAlder Lake-S関連に集中している頃、こちらはのんびりCG560の資料に目を通していたワケだが、あちらの事情を知るにつれ、今後のPCケースの有り様について、思いを馳せる事になる。
ベンチマークテスト第1弾は最上位Core i9-12900Kだが、冒頭でも触れた通り、各マザーボードメーカーが用意する評価キットには、軒並み360mmサイズラジエターのオールインワン型水冷ユニットがセットされている。Intelの熱問題と言えば、往年の自作派のほとんどが第4世代Pentium 4(Prescott)を思い出すワケだが、あの頃は水冷は一般的ではなく、静音ブームただ中の事実上”空冷一択”による制約は、苦い思い出しかない。
あれから17年(!)が経過し、オールインワン型水冷ユニットはハイエンド空冷クーラー並の価格で入手が可能。ラジエターサイズも大型化し、熱をねじ伏せるではなく、ほとんどはクールに冷却できるようになった。この変化に呼応すべく、PCケースの設計も進化を遂げ、内部構造の主役はストレージから今や冷却機構。今回取り上げたCG560も例外ではなく、フロントに360mm、トップに280mm、リアに140mmの各最大サイズがそれぞれ搭載できる。やはりCG560は第12世代Intel Coreプロセッサに対応する、ミドルタワーPCケースなのだ。
工作精度については、一部で価格帯を思わせる部分があるものの、近頃のDeepcoolは品質管理が目覚ましく向上し、その他のカテゴリでもメジャーブランドの仲間入りを果たせるほどの実力は確実にある。どんな時代でも、自作PC業界をリードするCPUやグラフィックスカードの花形パーツの進化に合わせ、来る2022年も新製品ラッシュに期待したい。
協力:Deepcool Industries
株式会社アユート