エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1107
2022.02.18 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
“静音PCケース”を看板に、これまで世界中の熱心な自作派から支持を集めているFractal Design(本社:スウェーデン)。その成り立ちや編集部との関係は、幾度となく触れてきたため割愛するが、国内市場参入前から深く関わりを持っていた筆者にとって、ここまでの成長は感慨深いものがある。今や押しも押されもしない世界的ブランドは、デザイン・機能性・静音性を兼ね備えた絶対的エース「Define 7」を筆頭に、個性豊かなラインナップを取り揃え、日本市場にもマッチした北欧デザインは、今後も進化を続けていくだろう。
ちなみに「静音」は未だに代名詞だが、近ごろではエアフローに優れたPCケースの開発にも積極的で、2017年9月に発売され検証を行った「Meshify C」は、現行「Define」シリーズに引けを取らないまでに成長。象徴的な角形メッシュフロントパネルデザインがFractalらしさを上手に表現している。
そして今回取り上げるのは、同じく高エアフロー志向のバリエーションモデル「Torrent」シリーズに属し、コンパクトに仕立て直した「Torrent Compact」だ。
Fractal Design「Torrent Compact White TG Clear Tint」(型番:FD-C-TOR1C-03) 市場想定売価税込23,100円(2022年2月18日発売) 製品情報(Fractal Design / 株式会社アスク) |
2021年8月にデビューし、詳細検証を行った「Torrent」の弟分的存在で、オープンフロントグリル・デザインをそっくり継承。二回りほど小さくなってもカテゴリはミドルタワーで、大型PCケースを諦めていたニーズに応える存在として、大きな注目を集めそうだ。そして検証では近ごろなにかと人気のホワイト色をチョイスした。
ここでTorrent Compactのラインナップをご紹介しよう。FractalのPCケースといえば、デビュー初日から複数のバリエーションを用意し、いつもそのボリュームに圧倒される。販売店なら「オーダー=発注数」に頭を悩ませるだろうし(時に置き場所の確保にも苦慮するだろう)、ユーザー側はどれを選べばいいのか迷いに迷ってしまう。必ずしも誰もが歓迎するスタイルではないはずだが、これをやり続けられるのは世界中でもFractal Designくらいだろう。市場には思惑どおり浸透し、多少は人気が偏りつつも、売り切ってしまう。その理由は、確かな製品と圧倒的ブランド力であり、今回の新製品Torrent Compactも例外ではなく、それでも控え目に4モデルがラインナップする。
Torrent Compact Black TG Dark | Torrent Compact RGB Black TG Light |
Torrent Compact White TG Clear | Torrent Compact Black Solid |
兄貴分、Torrentの6モデル展開に比べれば控え目で、カラーはブラックで3モデル、ホワイトで1モデル。さらに細かく見ていくと、ブラックは2種の強化ガラス(ダークとライト)モデルがあり、後者はRGB LEDファンを標準装備。Solidモデルは左サイドパネルが密閉型で最もスタンダードな仕様。唯一のホワイトは、左側面にクリアな強化ガラス製パネルを備えている。
実機に触れる前に、スペック表からTorrent Compactの概要を確認しておこう。外形寸法は幅222mm、奥行き450mm、高さ467mm。幅はさておき、高さと奥行きはやや大きめなMicroATX規格のミニタワー筐体クラスに収められている。とは言え、内部設計の最適化により、マザーボードの対応規格はE-ATX(幅274mmまで)、ATX、MicroATX、Mini-ITX、SSI-CEBとされる。コンパクトながらもパワフルなサーバーを構築する事もできそうだ。ちなみにTorrentとのサイズ比較もご覧頂こう。いわゆるサイズ感がおおよそ掴めるだろう。
なお重量は7.7kg(ホワイト)で、ブラックの強化ガラスモデル(Black TG)は8.0kg、ソリッドパネルモデル(Black Solid)は7.4kgとされ、仕様違いにより多少の違いがある。
ちなみに外装パッケージは幅306mm、奥行き535mm、高さ574mmで、付属品および梱包材を含む総重量は9.5kgとされる。ちなみにTorrentは、幅343mm(+37mm)、奥行き640mm(+105mm)、高さ674mm(+100mm)、重量13.4kg(+3.9kg)だったので、ずいぶんと”コンパクト”になったものだ。これなら店頭からの持ち帰りも可能だろう。