エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1172
2022.07.20 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最終セッションでは、Pop Mini Silent TGをベースにPCを実際に組み込んでみよう。なんでもかんでも搭載できる大型PCケースとは異なり、最低限ながら最大限にスペースを利用し、工夫された内部構造はどこを見ても無駄がない。Fractalのクオリティはそのままに、コンパクトに凝縮されたPop Mini Silent TGの組み込みにおけるポイントをじっくりご覧頂こう。
まずはマザーボードを搭載してみる。検証機材には、MSI「MAG B660M MORTAR WIFI DDR4」を用意した。Intel B660チップを搭載するLGA1700マザーボードで、もちろん規格はMicroATX(244x244mm)だ。
予め装着済みのスタンドオフにマザーボードの穴を合わせ、付属のMounting Screw (M3)でネジ留めをしていく。ミドルタワーに比べどうしても開口部が狭いミニタワーだが、作業を妨げるものは一切なく、通常使用しているドライバーで事は足りてしまう。なお搭載後の周辺クリアランスは、天板までが約30mm、右手フロント部に搭載される標準ファンまでは約95mmだった。
マザーボードを搭載したところで、CPUクーラー有効スペースをチェックしてみよう。従来通り計測には実際にCPUを載せた状態で、レーザー距離計を使用。強化ガラス製左サイドパネルの内側にマーカーを貼り付け、数値を測った。公称170mmに対し、デジタル表示は173mmを指しており、誤差の範囲内に収められている事を確認。有効スペースが気にならないオールインワン型水冷ユニットはさておき、中型~大型クラスのサイドフロー型CPUクーラーも搭載できそうだ。
次にマザーボードトレイ背面に回り、CPUクーラーメンテナンスホールをチェックした。開口部は実測で幅約165mm、高さ約145mm(いずれも最大部)で、LGA1700ソケットのCPUクーラーマウントホールが完全に露出できている。これなら比較的大振りなバックプレートも露出できるだろう。
マザーボードの次は電源ユニットを搭載する。ボトムレイアウトの電源ユニットには、有効スペース公称150mmまでが割り当てられており、搭載テストには以前詳細検証を行ったFractal Design「Ion+ 2 Platinum 860W」(型番:FD-P-IA2P-860)を用意。140mmファン(Dynamic GP-14)を搭載しながらも奥行きは150mmピッタリに収められている。
搭載方法は既に解説した通り、背面4箇所のネジ穴を使ったインチネジ固定。高さ86mmのATX規格電源ユニットは、右側面のボトムカバー開口部より挿入する手順だが、2台を並べて搭載できる2.5インチブラケットの下部が挿入口にはみ出しているため、これを一旦取り外す必要があった。マニュアルにはその記載が見当たらないが、金属同士が擦れるとすぐに傷が付くため、ここは無理をしない方がいい。
搭載自体は特に問題は無かったが、さすがに有効スペースを使い切ると、コネクタ付近のケーブルは混雑状態になった。電源ユニット自体が背面ネジ留めで、空きスペースが厳しいことから前もって必要分のモジュラーケーブルは接続しておいたが、隣接するドライブトレイエリアへの侵食は免れそうもない。
ボトムカバー内前方の上下に固定されたドライブトレイに急接近している、モジュラー式ケーブルたち。ミニタワーともなれば、内部容積が限られるだけにこの手の状態は想定の範囲内。これらをクリアしてこそ、小型PC構築の楽しさと言えよう |