エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1176
2022.08.06 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次にCPUの冷却対策だ。CPUクーラーは高さ170mmまでの空冷がチョイスできるが、今回はオールインワン型水冷ユニットFractal Design「Lumen S24」(型番:FD-W-L1-S2401)を用意。トップ部に設けられた設置スペースに240mmサイズラジエーターを固定した。
なおラジエーターの外形寸法は幅120mm、長さ272mm、厚さ27mm。そしてPop Air RGB TGの仕様書によると、トップ部には幅121mmまでのラジエーターが搭載できると記載されているので、ほぼ目いっぱい搭載スペースを占有する計算。オマケにメモリは高さ35mmの制限が付く。やや窮屈に聞こえるかもしれないが、なにもPop Air RGB TGに限った事ではなく、このようなケースは珍しくない。とは言え、スペック表から読み取れる情報は搭載スペースのみである事が多く、周辺パーツとの折り合いについてはマニュアルや資料を読み込まなければ分からない。製品サイトにPDFデータが用意されているのは、その辺りの理由が大きい。
ラジエーター(冷却ファン)固定用のネジ穴(スリットタイプ)は凹みを設けることで、バインドネジなどの出っ張りを吸収。マグネット固定式ダストフィルターが波打つことなく美しく装着できる |
そして紹介が遅れたが、組み込みに必要なネジ類を詰め込んだ付属品パッケージとは別の袋に、Fractal製品としては見慣れない金具が付属していた。4枚の金属製プレートは中央で段差を設け、さらに両端には2つずつのネジ穴がある。これはラジエーター固定時に任意で使用する「Extended Radiator Bracket」というもので、Pop Air RGB TG天板部とラジエーターの間に挟むことで、マザーボードから約15mm左サイドパネル側に固定位置をずらす事ができる。
専用ネジとExtended Radiator Bracket(画像左)。これをラジエーターに固定し、さらに天板にネジ留めを行う |
説明するまでもなく、その狙いはマザーボードからラジエーターを遠ざけようというもの。実際固定するとなかなかよくできており、冷却ファンが固定されたラジエーターは僅かに下方向にズレるだけでマウントができた。
一方でこのような仕掛けが必要なのは、思いのほかPop Air RGB TGの天板とマザーボード間にスペースの余裕がないためだ。マザーボード固定後の天板までの距離は実測で約25mm。これはミニタワーのPop Mini Silent TGや「Torrent」「Define 7 Compact」よりも5mm低く、ミドルタワーであるPop Air RGB TGの天板付近の窮屈な設計がやや気になった。
搭載してしまえば運用(稼働)にはなんら支障はないものの、これだけ冷却ファン付きラジエーターがマザーボードの上部を覆うと、裏手のコネクタにケーブルを接続する作業は絶望的と言わざるを得ない。実際CPU(CPU_FAN1)およびPUMP_FAN1コネクタはアクセスができなくなり、やむなく一度ネジ留めしたラジエーターを取り外す事になってしまった。さすがにこの時点でCPU補助電源コネクタにケーブルは接続済みだが、作業順を間違えると(あるいは知らなければ)面倒が起きる事を頭に入れておこう。
独立したハブ機能(基板)の用意はないが、対応機器のケーブルをアクセスポート裏面のRGBコネクタに接続すると、RGBコントロールスイッチが有効になる。なお別途SATA電源ケーブルは接続が必要 |