エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1193
2022.09.13 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
次に電源ユニットの搭載を試みた。用意したのは、近頃のFractal製PCケースレビューではお馴染みのFractal Design「Ion+ 2 Platinum 860W」(型番:FD-P-IA2P-860)。2021年8月に詳細検証をお届けしているので、興味のある方は是非ご一読頂きたい。
搭載手順はマウントスペース後方の枠を外し、これに電源ユニットの背面からインチネジ留め。後方開口部より、本体をスルスルと挿入すればいい。
特にモジュラー式電源ユニットの場合、必要な時にケーブルを抜き挿しするスペースが広げられる後方インストールは都合がいい。Define 7 Nanoのように、有効スペースが奥行き165mm(公称)までのPCケースならなおのこと、このスタイルの良さが際立っている。
ちなみに奥行き150mmのIon+ 2 Platinum 860W搭載状態で後方のクリアランスをチェックすると、ドライブトレイを目いっぱい前方に固定した状態で約80mmだった。もしドライブトレイとモジュール式エアダクトが無ければ、フロントパネル裏側まで約200mmのスペースが使い放題になる。
ATX補助電源ケーブルを通すスルーホールは開口部が狭い上に、マザーボードを固定するとさらに間口が狭くなる。そこでマニュアルにはマザーボードを固定する前に、ATX補助電源ケーブルを通しておくよう手順が記されていた |
最後にグラフィックスカード搭載後の様子をご紹介しよう。搭載テストに用意したのは、MSI「GeForce RTX 3050 GAMING X 8G」だ。TWIN FROZR 8搭載のVGAクーラーを備え、外形寸法は幅130mm、奥行き278mm、厚さは49mm。Define 7 Nanoでは、前面に25mm厚冷却ファンを搭載した場合は長さ306mm、取り外した状態では長さ331mmまでがサポートされており、ミニタワーである事を思えば、及第点といったところ。
さらに細部までこだわるFractalらしく、グラフィックスカード厚まで厳密に制限が記載されており、2.8スロットまでが選択できる。近頃のリリースでもたまに見かける”2.xスロット表記”は「分かりにくい」という意見があるものの、おおよそ3スロット占有はNG、2スロット以上の場合は注意が必要といった判断材料にはなる。なお2.8スロットをFractalでは57mmとしているが、グラフィックスカード製造メーカーによっては56mm表記もある事を付け加えておく。
搭載方法は解説する必要はなく、ハンドスクリューで固定された拡張スロット金具を外し、グラフィックスカードを挿してネジ留めするだけ。そもそも有効スペース範囲内の製品をチョイスしているとあって、実測で約30mm弱(25mm厚/Dynamic X2 GP-14搭載時)を残した状態で搭載ができた。作業にまつわる注意事項もない。
GeForce RTX 3050 GAMING X 8Gとボトムカバーの空きスペースは約15mm。ボトムカバー天板のグロメット付きスルーホールを使い、PCI Express補助電源ケーブルを接続する事ができた。VGAクーラーの冷却ファンに絡まる心配もない |
PCケースの検証は撮影に時間を要するため、およそ2週間の掛かりきりは覚悟しなければならない。そして今年(2022年)のFractal Designは本稿で5台目となり、7月・8月・9月の3ヶ月連続で新作をお届けしている。まさに勢いは留まらずといった所だが、記憶に新しい直近の3台を振り返ると、今回のDefine 7 Nanoは最もFractalらしいPCケースだったことは間違いない。
当然だろう。冒頭でも触れたようにDefine 7はFractalの代名詞であり、今や全PCケースのベンチマーク的存在と言っても違和感がない。それだけに決して失敗は許されず、採寸をし直した新作Define 7 Nanoは要所を正確にトレースし、慎重に設計・製造されている箇所を複数で感じることができた。
ベースが盤石だからこそ、おのずと完成度は高く、いい相乗効果がカタチになって製品化されている。Define 7 Nanoはそんな佳作だった。秋葉原のショップ店員からの定番を期待する声には、十分応えることができている。
協力:Fractal Design
株式会社アスク