エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1193
2022.09.13 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最終セッションでは、実際に構成パーツの組み込みを行いつつ、作業における注意点やマニュアルでは分からない気が付いたこと、さらにパーツ取り付け後の周辺クリアランスを解説していこう。組み込みに際し、左右両サイドパネルは言うに及ばず、トップパネル、さらには内部天板のリムーバブルトップブラケットも外してしまうと、内部へのアクセスが良好になり、作業がし易い。
マザーボードを搭載してみよう。テストに選択したのは2022年1月より国内で販売が開始されたMSI「MEG Z690I UNIFY」だ。170mm四方のMini-ITX規格で、Intel Z690チップを搭載したDDR5メモリに対応するハイエンド志向のマザーボードで知られている。
マザーボードトレイ装着済みのスタンドオフ4本に、ミリネジのMounting Screw (M3)で固定。本体左側面より周辺クリアランスをチェックすると、右手のフロントファンまでは約135mm、天板までは約10mm、ボトムカバーまでは約52mmのマージンが確保できていた。フロントパネルまでの空きスペースはほぼ想像通りだが、上部は非常にタイト。トップファンブラケットの一部がマザーボード側に張り出しているため、最も窮屈な箇所では約5mmの距離になってしまう。冷却ファンは窪んだ部分に増設できるものの、やはりラジエーターは搭載できない。
なおボトムカバーまでは比較的空きスペースがあるように見えるのは、2スロット以上を占有するグラフィックスカードの搭載が想定されているものと思われる。
次にCPUソケット周りに注目し、CPUクーラーの有効スペースを計測する。例によってレーザー距離計を用い、CPUの上に設置。閉じた左サイドパネル内側までの距離を測った。公称値は高さ167mmだが、デジタル表示は168mmを示し、ほぼ公称値通りである事が分かった。
以前より編集部では必需品のひとつだったレーザー距離計も、今ではあちこちで使われているようだ |
次にマザーボードトレイ背面に回り、CPUクーラーのメンテナンスホールを見てみよう。Fractalロゴ入り面ファスナーに囲まれているカットアウトは、実測で幅約133mm、高さは約140mm。やや長方形で、右上部分が斜めにカットされている。今回搭載したマザーボードでは、CPUソケット周りのCPUクーラー用マウントホールも十分に露出できている。
次にCPUクーラーを搭載してみた。ここ数年のPCケースレビューと言えば、9割方オールインワン型水冷ユニットをチョイスしてきたが、今回は久しぶりにサイドフロー型CPUクーラーをチョイス。2021年5月に検証を行ったNoctua「NH-U12S redux」を機材置き場より引っ張り出し、搭載テストを試みた。
NH-U12S reduxは、マウントキット「NM-i17xx-MP78」を使う事で、LGA1700にも対応。肝心な全高は158mmで、有効高167mmまではまだ余裕がある。
実際に搭載してみると、特に問題はなく搭載が完了。特にリムーバブルトップブラケットを取り外した開放状態では、かなりスムーズに作業を進めることができた。なお搭載後の周辺を見回すと、トップパネルまでの距離が近く、ミニタワーである事を再認識させられる。
NH-U12S reduxを搭載した状態で上部クリアランスを計測すると、冷却ファン固定用ワイヤークリップのはみ出しも考慮し、15mm程度しかクリアランスは確保できていない。つまりCPUソケット上部に25mm厚ファンは搭載できないという事が分かる |
ヒートシンク幅45mm(冷却ファン込みで71mm)のNH-U12S reduxを搭載すると、ヒートシンクから排出される熱を素早く外部へ吐き出すには都合がいい距離感で搭載ができた |