エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1216
2022.11.07 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
どうやら人気PCケースのトレンドは、コンパクトミドルタワーらしい。そういえば、近ごろ編集部に届けられるPCケースはほぼこのクラスで、アッパーミドルの超大型PCケースに触れる機会は減少傾向にある。その主な要因を考えてみると、PCを司る構成パーツの進化(または変化)によるところが大きいだろう。
基幹パーツのほとんどに付随する課題は熱対策だ。このやりくりがPCケースにも多分に影響するワケだが、ラジエーターさえ設置できれば省スペースで高冷却が得られるオールインワン型水冷ユニットの台頭や、高効率電源ユニットによるコンパクト化は、ずいぶんとPCケースの設計を変えた。同じく、容量単価が現実的なレベルまで下がったSSDが主流になり、占有率が高くなるストレージ収納も今や裏配線スペースが主たる居住空間だ。このように、あらゆるパーツが進化を続けた結果がコンパクトミドルタワーであり、自作PCパーツ事情を色濃く反映している“現在のカタチ”と言えるだろう。今回の主役、In Win「A5」もそのひとつだ。
In Win「A5」(型番:IW-CS-A5BLK-1AM120S) 市場想定売価税込13,980円(2022年10月7日発売) 製品情報(In Win/株式会社アユート) |
開口一番「そうなのかなぁ」と思わせたのが、国内正規代理店である株式会社アユートの製品サイトにある紹介文だ。
エルミタでは2018年7月に「A1」、2019年8月に「A1 PLUS」をそれぞれ検証している。スマートな外観デザインと半透明な台座のギミックが相まって、当時のベストセラー機になった。もちろん筆者の記憶も鮮明で、個人的に所有してもいいかなと思わせる出来映えだったが、さてCube型のA1とA5が兄弟機とは現時点結びつかない。
売れ行き好調で後にバリエーションモデルが増えた「A1」シリーズ |
印象が良かったA1だけに、アユートのアピールをやや懐疑的ではあるものの、今回同時発売されたMicroATXミニタワー「A3」(型番:IW-CS-A3BLK-1AM120S)を並べると、ようやくIn Win「A」シリーズのカタチが見えてくる。
どこかで読んだ資料によると、4年前のA1登場以降、同じ系譜のミドルタワーPCケース待望論が多く寄せられたという。つまり、このリクエストに応えたのがA3/A5というワケだ。集合写真を見比べると、なるほどフロントパネルの意匠は共通するところがあり、In Winらしい落ち着きもある。さらに資料を見ていくと、実は外観よりも内部構造が重要で、A3/A5共通の特徴である垂直エアフロー構造が最大公約数であり、接点である事が分かってくる。冷却ファンをフロントに置かず、ボトム面に設置。上方向へのエアフローを軸にした設計は、「A」シリーズのキモであり、アユートの言う「兄弟機とも言うべき」理由が理解できる。
実機に触れる前に、スペック表からA5の概要を確認しておこう。主素材はSECC(亜鉛メッキ鋼板)で、副素材にABS樹脂、左側面に強化ガラスが使用されている。そして外形寸法は幅215mm、奥行き399mm、高さ407mmで、重量は5.86kg。5kg台のミドルタワーPCケースは軽量の部類で、組み込み作業時は扱い易い。また、奥行きと高さが400mm前後に収められているあたり、コンパクトミドルタワーである事を意識させる。筆者のように決して広くない作業現場では、圧迫感なく設置ができる。
対応マザーボードは横幅272mmまでの制限付きでE-ATX、さらにATX、MicroATX、Mini-ITX。表記上のE-ATXが実用的かと言えば疑問だが、まだ実機を見ていない現段階では、コンパクトな筐体にどのように収められるのかはひとつのチェックポイントと言えよう。
その他詳細は個別セッションの解説に任せるとして、外装パッケージは幅277mm、奥行き473mm、高さ483mm。付属品および緩衝材を含めた総重量は6.94kgとされ、十分店頭からの持ち帰りはできる。
コンパクトミドルタワーだけに梱包もコンパクト。カート無しでも持ち運べるから、是非在庫のある店頭へ足を運ぼう |