エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1231
2022.12.21 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
最終セッションではNorthをベースに構成パーツを用意し、実際にPCを組み込んでみよう。ご存じのように、FractalはPCケースに留まらず、電源ユニット、CPUクーラー、ケースファンなど、構成パーツのラインナップが充実している。メーカーにこだわらず、それぞれをチョイスするのも自作PCの楽しみ方だが、同一メーカーのパーツを集めて組み込むことで、一段完成度が増す事はこれまでに多くの前例がある。新規にPCを組み込む際には、一度製品サイトをチェックしてほしい。
まずはマザーボードを搭載してみよう。マザーボードトレイには、予めスタンドオフ(台座)が装着済みで、上段中央の1本だけ増設し、付属のMounting Screw (6-32)で計9箇所をネジ留めする。Northは開口部が広く確保されているため、ボトムカバーに気を付けながら装着すれば、搭載作業の難易度は決して高くない。
搭載イメージでは便宜上アクセスパネル(左側面前寄り)が装着された状態。実際の作業時は取り外しておこう |
なおマザーボード搭載後の周辺クリアランスは、右手のフロントパネル裏までが実測で約110mm、上部トップパネル内側までが約35mmだった。
マザーボードを搭載したところで、CPUクーラーに関わる2点の計測を行った。まずはCPUクーラーの有効スペースについて、CPUの上にレーザー距離計を置き、メッシュ仕様の左サイドパネル内側までを計測。貼り付けたマーカーまでのデジタル表示は177mmを示した。メーカー公表値はサイドファンブラケットを搭載した状態で145mmまで、実測時と同じブラケット無しの場合は170mmまでとされる。誤差の範囲としての7mmはやや開きがあるものの、広くて困る数値では無いため、ここでは問題としない。
CPUクーラーの有効スペースは最大170mmのところ、実測では何度計測しても177±1mm。とは言え、公称値以下のCPUクーラーを選択してほしい |
次にマザーボードトレイ背面から、CPUクーラーメンテナンスホールの広さを見ておく。カットアウト部は幅約160mm、高さ約150mmで、マザーボード備え付けのバックプレートはもちろん全て露出。特筆すべき広さとは行かないが、実用的なレベルでは十分あるだろう。
底面後方に用意されたマウントスペースに、電源ユニットを搭載してみよう。搭載テストには以前詳細検証をお届けした、Fractal Design「Ion+ 2 Platinum 860W」(型番:FD-P-IA2P-860)をチョイス。容量860Wで、140mmファンを搭載。奥行き150mmの抑えたコンパクトかつ高効率電源ユニットだ。
左右計2本のハンドスクリューで固定された枠を外し、これに電源ユニットをインチネジで固定。後方からスライドしてハンドスクリューを留めればマウント作業は完了する。電源ユニット本体は前後スライドができるため、モジュラー式電源ユニットならコネクタの増設など抜き挿しが容易にできる。
ここで気になるのは搭載方法ではなく、隣接する2.5/3.5インチ共用ドライブトレイとの位置関係だろう。ドライブトレイをデフォルト「D」の位置にした場合、背面からの距離は公称167mm(distance)で、Fractal推奨の搭載スペースは140mmとされる。そもそもIon+ 2 Platinum 860Wは奥行き150mmだから既に規定値オーバーだが、敢えて共存させてみたところ、3.5インチHDD(または2.5インチSSD)x1台であれば、下段コネクタに接続したケーブルがHDDに干渉しなかった。ただし、あくまでIon+ 2 Platinum 860Wの場合であり、Fractalの推奨ではない事は強調しなければならない。