エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1264
2023.03.12 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
Package Powerが最高で200Wに達することもあり、やはり「NH-L9a-AM5」には少々荷が重かったRyzen 9 7900X。続いて、Noctuaがプレスリリースで、対応を謳っているTDP130W時の冷却性能を確認するべく、「RYZEN MASTER」にてPPTを130Wにした状態でも検証を実施してみることにした。
「RYZEN MASTER」でPPTを130Wに設定した状態でもテストを実施してみることにした |
高負荷時のPackage Powerは、「OCCT 11.0.20」では若干のブレはあるものの、いずれのテストでもPPTで設定した130W前後で動作する。そしてCPU温度もテスト中何度か95℃に達することはあるものの、おおむね90℃前半で推移。サーマルスロットリングによる、CPUクロックやPackage Powerの大幅な低下も見られず、Noctuaがプレスリリースで発表していた通り、TDP130Wまでなら「NH-L9a-AM5」で冷却することができる。
ファン回転数はRyzen 9 7900Xの標準設定時と全く同じで、テスト実行中は常にほぼフルに回転している。またノイズレベルも42~43dBAで標準設定時から変化がなかった。
アイドル時のサーモグラフィー結果 | 高負荷時のサーモグラフィー結果 |
なお今回はロープロファイルのトップフロー型CPUクーラーということで、部位別の温度計測はできなかったが、Ryzen 9 7900XのTDP130W設定でサーモグラフィーの撮影を撮影したところ高負荷時はヒートシンク全体の温度が上昇している様子が確認できた。
1月に発表され、2月より国内市場でも入手ができるようになった「NH-L9a-AM5」。小型PCに向けた新製品の実際は、2012年開催の「COMPUTEX TAIPEI 2012」でプロトタイプが完成しており、同年12月には空輸されてきた評価サンプル「NH-L9a」の検証を行っている。
今回改めて検証記事を読み返し、当時を振り返ってみたが、およそ10年前のプロダクトが今なお生き続けている事には驚くばかり。タイトルに「技術の粋を詰め込んだ」と記したが、詰め込んだのは2012年の事であり、Noctuaにとっては”ずいぶん前に完成していた”事になる。
ソケットは進化し、その間いろいろなCPUがリリースされ、生産終了になったモデルも多い。それをよそに、Noctua「NH-L9a」は大きく姿を変えることなく、未だに現役続行中。chromax.blackはNoctuaの遊び心として、10年以上も通用するCPUクーラーはかつてあっただろうか。驚くのは筆者を含めた一部のユーザーで、Noctuaにとっては至極当たり前の日常なのだろう。恐らくNoctuaは個々の冷却能力の限界を把握しており、不要な開発に労力やコストを掛けることをしない。CPUの進化に動じない姿勢。もう脱帽するしかない。
協力:Noctua