エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1299
2023.06.14 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからはパッケージより本体を取り出し、Terraの外観デザインから検証を開始しよう。FractalのMini-ITXケースといえば、2020年デビューの「Era ITX」を思い浮かべる人もいるだろう。どこか製品名の響きも似ているが、同じミニPCケースでもコンセプトが異なるため、外観自体に共通点はあまり見出せない(というかぜんぜん違う)。なお容量はTerraの10.4Lに対し、Era ITXは16Lだから、ずいぶんとコンセプトから異なる事が分かる。
外観の個性も強いTerraは、前後以外は大胆にスリットタイプの通気孔を装備している。後に触れるが、Terra自体これと言って防塵対策は施されていないため、常にホコリが気になるという人には正直オススメできない。スマートな外観とは裏腹に、神経質な緻密さと言うよりも、気密性を捨て、そこかしこを空気が抜けるよう”スリットだらけにした”というのが、外観上における最大の特徴と言えよう。
ボトム面までも通気孔仕様。のちほどじっくり観察してみたい |
真正面から見たTerraは、通気孔等は一切見当たらず、8mm厚のアルマイト加工済みアルミニウム素材を生かしたフラットデザインと、下部にアクセントとしてウォルナット材を採用。冷たいイメージの金属製筐体に、天然木による温かみをプラス。これは先に触れたEra ITXの天板に採用された、ホワイトオークウッドまたはウォルナット材と同じ発想を受け継いだ。このように異なる素材を組み合わせることで、洗練されたフロントパネルデザインが完成している。
ウォルナット材は幅約153mm、高さ約50mm。装着されたフロントパネル下部には、正面左端に円形のPowerスイッチを備える他、USB 3.2 Gen 2×2 Type-Cポートおよび、USB 3.0 Type-Aポートを各1つ用意。ミドルタワーPCケースを見慣れている人には、心許ない装備数に感じるかもしれないが、内部容積が限られたミニPCケースの場合、ケーブルが増える事は極力避けたい事情もあり、必要最低限とするケースが多い。最もマザーボードの拡張性にも影響している部分はあるだろう。
どこか「ロースター」を彷彿とさせるトップパネル。内部の熱ごもりを解消すべく天板もスリットによる通気孔デザインが採用されている。先にお伝えしておくと、この面に冷却ファンの増設は考慮されていない。
パネルサイズは実測で幅約127mm、長さ約335mm。背面にはプラスチック製パーツがネジ留めされており、前後に設けた突起をシャーシ部に引っ掛けることで固定されている。なお取り外しは後方に取り付けられた布製ストラップを引くだけのツールフリー仕様。この天板は「クイックトップパネル」と呼ばれている。
後方中央の布製ストラップは天板直にネジ留め。クイックトップパネルを形成するプラスチック製パーツは、前後に固定用の突起が装備されている |