エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1307
2023.07.04 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
Fractalの国内代理店、アスクの製品サイトには、Ridge PCIe 4.0の特徴について、こう記されている。
毛色は全く異なるものの、つい先日、コンパクトなMini-ITXケース「Terra」の検証記事をお届けした。対応マザーボードはMini-ITXと共通だが、全くスタイルが異なる。Terraはある意味「難解である事」が持ち味だが、Ridge PCIe 4.0は組み込み易さを前面に出し、ユーザーを選ばない設計がアピールされている。ここからはRidge PCIe 4.0の内部構造を解説していこう。
ミドルタワーPCケースなら”マザーボードトレイ”と紹介するところ、Mini-ITX規格に対応するRidge PCIe 4.0では搭載スペースが大きくカットされ、ちょうど四隅にあたる部分には出荷時よりスタンドオフ(台座)が装着されている。PCケース本体をコンパクトにできる、そのベースとなるのが170mm四方のマザーボードだけに、最低限のスペースしか確保されていない。組み込みセッションで実際に搭載を試みるが、特に上下方向はかなりタイトに見える。
Ridge PCIe 4.0唯一の標準装備ファンは、上部エリアを占有する2基の「Aspect 14 PWM」だ。長寿命を謳うライフルベアリングを採用するカタログモデルで、以前詳細検証をお届けしたFractal Design「North」のフロント面にも標準装備されている。
回転数は500~1,700rpmで、騒音値10~35.5dBA、風量20~78CFM、静圧0.3~2.05 mmH2O。MTBFは90,000時間とされ、標準的な25mm厚フレームを採用する。なお120mmファン換装用のネジ穴も標準装備。スリム型PCケースながら、条件付きで120/140/240/280mmサイズラジエーターも搭載できる。”条件”については、別のセッションで解説しよう。
トップブラケット部にも80mmファンが最大3基増設できる。近頃のPCケースでは珍しい小径ファンだが、直線上に3基並んで生み出されるエアフローは、回転数によっては強力なものにできる。一方でポジション的には2基の140mm標準装備ファンに近く、設計上熱源となるCPUやマザーボードからも遠いことから、積極的な増設についてはユーザーの考え次第といったところ。当然のことながら、ラジエーターは搭載できない。
トップブラケットは取り外しが可能。固定は右側面・左右に各2本、左側面・左右に各2本、さらに標準140mmファンの上部各2本(2基分計4本)のネジを外す必要がある |