エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1321
2023.08.10 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
グラフィックスカードには、NVIDIA GeForce RTX 4070 Founders Editionを選んだ。NX500M ARGBに搭載できるグラフィックスカードの長さは320mmまでとされる。GeForce RTX 4070 F/Eの長さは約243mmだから、余裕を持って搭載できる計算だ。
搭載手順を解説しよう。拡張スロット金具は必要箇所を抜く仕様なので、まずは背面から拡張スロットの側面を隠すプレートをスライドさせ、拡張スロット金具の上から2枚分を取り外す。後は一般的な搭載方法と同様、グラフィックスカードを拡張スロットに装着し、ブラケットをインチネジで固定。先ほどスライド開放した側面プレートを元の位置に戻し、ハンドスクリューで固定すればいい。
拡張スロット金具は外部固定。同様の仕組みを採用するPCケースのほとんどが、固定部の見映えを良くする目的で、スライド式のプレートを装備している |
有効スペースに対し、数字上でも余裕だったGeForce RTX 4070 F/E。搭載後、フロントパネルまでの距離は実測で約80mmの空きスペースが確保できていた。320(有効スペース)-243(カード長)=77だから、ほぼスペック表通りの結果だった。ちなみにGeForce RTX 4090 Founders Editionのカード長は約304mmなので、計算上は搭載可能。NX500M ARGBはミニタワーでありながら、ハイエンド志向のグラフィックスカードが搭載できる事がわかる。
フロントパネルまで約80mmを残し、問題無く搭載作業は完了。ミニタワーながらさほど窮屈には見えない |
NE850G M ATX 3.0標準の12VHPWRコネクタケーブルで接続。煩雑な分岐ケーブルを使用しないことで、かなりスッキリとした配線が可能 |
冒頭でも触れたように、MicroATXはATX規格の拡張スロット搭載数を減らし、基板を正方形にバッサリ切った規格。拡張スロットをすべて埋めるほどの拡張カード需要はもはやなく、多くはMicroATX規格のミニタワーPCで事は足りるのではないだろうか。
かく言う筆者のメインPCは数年前からMicroATX規格のミニタワー筐体で、240mmサイズラジエーターの水冷が今でも元気よく常時稼働を続けている。周辺機器の接続は外部アクセスポートで賄い、これと言って不便を感じた事はない。
誤解無きよう補足すると、ATX規格が不要という事ではない。ただ「将来的な拡張を想定してのATX規格選択」でも、そのまま拡張せずに使い続けているパターンは意外にも多いのではないだろうか。もし思い当たるなら、近頃はMicroATX規格マザーボードおよびミニタワーPCケースの佳作も多いことから、今後の選択肢に加えてみてはどうだろう、という提案なのだ。
今回取り上げたAntec「NX500M ARGB」は、市場想定売価税込7,480円で購入できるコストパフォーマンスに優れたミニタワーPCケース。コンパクトな筐体ながら、決して必要最低限ではない拡張性を備えたイマドキな設計は、Antecが得意とするところ。そして大型空冷クーラーが搭載できない代わりに、フロント部に最大360mmサイズラジエーターが搭載できる点は、ミニタワーPCケース自体のイメージを覆す「ハイエンドPCの構築」も見据えることができる。
将来的ではなく、今まさにコンパクトでハイスペックなPCの構築を目論むなら、NX500M ARGBの選択で後悔はないはずだ。
協力:Antec
株式会社リンクスインターナショナル