エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1373
2023.12.24 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ちらほら「ピラーレスデザイン」というキーワードが出始めたのは2022年のこと。その斬新なスタイルは多くの注目を集め、採用モデルが本格的に複数流通し、一気に選択肢が増えたのが2023年だった。つまり2023年はピラーレスデザインPCケースの”本格普及元年”と言って差し支えないだろう。
「ピラーレスデザイン」とは、そのほとんどがフロントパネルの左側ピラーが無く、さらにフロントと左サイドパネルに強化ガラスを採用。2枚の強化ガラスのエッジ部が隙間を埋め、一体感を演出しつつディスプレイ要素を高めた、言わば“究極の魅せるPCケース”だ。今でこそ見慣れたものの、その斬新なアイデアはあっという間に熱心な自作派から支持され、今なお選択肢は増え続けている。
COMPUTEX TAIPEI 2023のZALMANブースに登場した「P30」。既にほぼ完成版と言える仕上がりで、レポート記事のアクセスの多さが印象的だった |
今回取り上げるZALMAN「P30」もまた、この流れに乗る格好で登場した注目の新製品。「COMPUTEX TAIPEI 2023」で披露されたプロトタイプから半年を待たずして販売に漕ぎ着けたワケだ。
ZALMAN「P30 White」 市場想定売価税込14,080円前後(2023年11月24日発売) 製品情報(ZALMAN / 株式会社アスク) |
なお国内代理店の株式会社アスク(本社:東京都千代田区)より届けられたのは、COMPUTEXの会場で見た同色のホワイト。自作PC界隈では未だにホワイト色のパーツが人気だが、ことピラーレスデザインでコンパクトなミニタワーという条件なら、ボディカラーはホワイトがより映えるのではないかと思う。P30の清潔感のある白は変にギラつく感じもなく、発色も美しい。機会があれば是非店頭で実機をご覧頂きたい。
次にスペック表から、P30の概要を把握しておこう。対応マザーボードはMicroATXとMini-ITXで、ケースタイプはミニタワーに分類される。使用素材はスチール、プラスチック、強化ガラスで、外形寸法は幅235mm、奥行き453mm、高さ429mm、重量は8kgとされる。
高さこそ低いためミニタワーだが、幅は235mm確保されており、ミドルタワーPCケースと変わらない。さらにこの大きさで重量8kgは、強化ガラスが一般的なPCケースより1枚多く使用されていること。さらに1本ピラーが無いために、シャーシ自体の剛性を高められた設計である事が想像できる。
冒頭ではホワイト色を推したが、ブラック「P30 Black」も用意されている。市場想定売価はホワイトが税込14,080円前後に対し、ブラックは税込13,640円前後と440円安い。アスクが想定売価を揃えなかったのは両者のコストに開きがあり、同一価格では消化ができなかった事が想像できる。原材料費や為替の問題から、どこも売価がシビアになっている。売価に差が出るのは正直な値付けと見るべきで、これは致し方ない。
ZALMAN「P30 Black」 市場想定売価税込13,640円前後(2023年12月1日発売) 製品情報(ZALMAN / 株式会社アスク) |