エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1413
2024.04.19 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:pepe
今回主役として取り上げるのは、“究極の静音PC”をコンセプトに掲げるサイコムの静音BTO「Silent Master PRO Z790/D5」。その最大の特徴は、Noctuaが作り上げたパッシブ冷却の大型ファンレスクーラー「NH-P1」の採用だ。
サイコム「Silent Master PRO Z790/D5」 基本構成売価税込301,660円 製品情報(サイコム) |
主要な熱源の一つであるCPUの冷却をファンレス化するという、どちらかと言えばロマン構成と呼ばれる部類のマシン。それを見せかけだけでない実用機として実現するため、サイコムは標準35W動作の低電圧版CPUを組み合わせつつ、最適なパワーリミットで運用する独自のチューニングを施している。
組み込むパーツチョイスの難しさにはじまって、十分なエアフローの確保など課題の多さから、そもそもBTOの標準構成に選択されること自体が稀有なファンレスクーラー。できる限り騒音を減らせるのが最大のメリットなのは言うまでもないが、パフォーマンスもしっかり両立できる運用を可能にするには、こうした工夫が不可欠というわけだ。
単なる静音に留まらず、あえて“無音”を選択。確実な冷却と最適なパフォーマンスを両立させるため、CPUのチューニングも行っている |
【関連記事】Noctuaファンレスクーラーと独自チューンの低電圧版CPU搭載、サイコム最新の静音BTO「Silent-Master PRO」検証(2023.07.06 更新)
ちなみにこの「Silent Master PRO Z790/D5」という機種については、実のところ以前にも詳細レビューをお届けしたことがある。しかし初期モデルの出荷開始から約1年を経て進化を遂げており、現行モデルはCPUが第14世代Coreプロセッサ(低電圧版)にアップグレード。さらにグラフィックスカードとして、Noctua製ファンを採用したオリジナルの超静音モデル「Silent Master Graphics」が構成に加わっている。
Noctuaファンを使用した独自クーラーを採用する、超静音グラフィックスの「Silent Master Graphics」を搭載。約1年前に「Silent Master PRO」が発売された当初は、まだ未登場だった |
「Silent Master Graphics」は、Noctua製の静音ファンをデュアル搭載し、それを長尾製作所が手がけたファンカバーでマウントした特別仕様のグラフィックスカード。3月に入って、新たにGeForce RTX 4070 SUPERおよびGeForce RTX 4070 Ti SUPER搭載モデルがBTOオプションに加わるなど、ラインナップも最新環境に合わせてアップデートされている。
それでは、一旦ここで「Silent Master PRO Z790/D5」の基本構成をチェックしておこう。CPUは20コア/28スレッドのCore i7-14700Tを搭載し、冷却には先に触れたようにNoctuaのファンレスクーラー「NH-P1」を採用。グラフィックスカードは「Silent Master Graphics」のGeForce RTX 4060 Ti搭載モデルが組み込まれている。
マザーボードはIntel Z790チップを搭載するASRock「Z790 Pro RS」で、メモリはメジャーチップ採用のDDR5-4800 16GB、ストレージはPCI Express 4.0(x4)に対応するCrucial「T500」シリーズの1TBモデルを内蔵する。
また、電源ユニットは80PLUS PLATINUM認証を取得した、高品質なFractal Design製のセミファンレス電源「Ion+ 2 Platinum 660W」をチョイス。そしてこれらの構成パーツは、遮音パネルを採用するFractal Designの静音ミドルタワーケース「Define 7 Compact」に収められ、サイコム自慢の静音BTOが完成するというわけだ。