エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1447
2024.08.11 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
CPUクーラーの有効スペースは十分に確保できているが、今回はオールインワン型水冷ユニットをチョイス。検証には360mmサイズラジエーターを搭載するCORSAIR「iCUE LINK H150i LCD White」(型番:CW-9061010-WW)を用意した。
2023年末にリリースされたiCUE LINK対応モデルで、”簡単かつスマートにPCが構築できる”ところが最大の特徴。ラジエーターに搭載される3基の120mmファン(iCUE LINK QX120 RGB)はiCUE LINK Connectorによりケーブルレスで接続済み。あとはiCUE LINK System Hubを中心に、iCUE LINK Cable等で接続を行うだけでシステムが構築できる。
トップパネルを外し、シャーシ側天板にラジエーターをネジ留めしていく。ネジ穴はスリットタイプなので、固定位置の調整が可能。特に今回のようなチューブを後方にレイアウトした場合、リアファンとのマージンを稼ぐこともできる |
お世辞にもお手頃価格とは言えないが、iCUE LINK対応のAIO水冷ユニットは組み込み作業がしやすい。面倒な配線を簡略化してコンポーネント毎に接続していく工程は、ユーザーの負担を大幅に軽減する事は間違いない。見た目もスマートになるだけに、売価以上の価値は誰もが体感できるのではないだろうか。
iCUE LINK関連のコネクタが後方に集中するため、やや接続がしにくいところを除けばマイナス要素は見当たらない |
組み込みに関してはフロントと左サイドが開放状態だけに、広い空間で作業を進める事ができる。ピラーレスデザインPCケースのほとんどにフロントパネル着脱式が採用されているため、組み込み易さも大きなプラス要素になっている。
グラフィックスカードの搭載テストには、NVIDIA「GeForce RTX 4090 Founders Edition」を用意した。外形寸法はメーカー公称値で幅137mm、長さ304mm、厚さ61mm(3スロット占有)とされる。ちなみに3500Xの有効スペースは410mmだけに、超ハイエンドクラスのグラフィックスカードにも十分対応できる事は間違いない。
搭載方法はオーソドックスで、拡張スロットを3段分外し、固定されていたインチネジをそのまま使用。グラフィックスカードをしっかりとネジ留めしたところで12VHPWRコネクタケーブルを接続すればいい。
なお12VHPWRコネクタケーブルは、ボトムカバーの奥にあるスルーホールを利用。GeForce RTX 4090 Founders Editionとの組み合わせでは白いケーブルの存在がやや際だって見えるかもしれない。徹底してケーブルを隠したいならば、ASUS BTFによる「Graphics Card High-Power Slot」(M/B側)と「GC-HPWR Gold Finger」(VGA側)の組み合わせを選択する事になる。
最後に念のためだが、GeForce RTX 4090 Founders Editionを搭載した状態で、フロントパネルまでのクリアランスを計測してみると約120mmだった。
ピラーレスデザインPCケースを取り上げるのは、何台目だろうか。秋葉原の主要PCパーツショップには多くの選択肢が並び、通販サイトでは短納期で手軽にお気に入りの機種を入手する事ができる。まさに”選びたい放題”はシアワセな事だが、冒頭でも触れたように「どれを選べば正解」なのかは、かなり悩ましい。
そして今回取り上げた3500Xもしかり、搭載ファンの有無および種類で3パターンが存在する。本稿の主役は3500Xだからこれにターゲットを絞ると、筆者個人的には搭載ファン無しの「3500X Tempered Glass」を選ぶ。理由は簡単で、CORSAIRは自作PCパーツメーカーとして老舗であり、信頼の置けるブランドであることに疑う余地は無い。ただしワンメーカーだけで固めるよりは、手持ち資産を生かして好きに組み込んで行きたい。
ちなみに編集部のアキバ取材班によると、PCパーツショップ店員からは「3500X ARGB Tempered Glass」の評判が良いと聞く。いずれ冷却ファンは増設する事になるし、セット価格という見方でこのモデルがオススメし易いと感じているようだ。
だが待って欲しい。本音を言えば「iCUE LINK 3500X RGB Tempered Glass」もかなり魅力的で捨てがたい。実際に体験すると、iCUE LINKは実によくできていて、専用ケーブルでコネクタを接続していく作業は実に小気味好い。独自システムだけに割高であることは否めないが、対応製品一式で固めた”CORSAIR iCUE LINK PC”は、将来性もある先進の自作PCが体験できる。
結局のところさらに惑わす事になってしまったが、さてどれを選ぶかはやはり「あなた次第」といったところで本稿をまとめたい。
提供:CORSAIR