エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1480
2024.11.29 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ここからは構成パーツを用意して、FLUX PROをベースとしたPCを組み込んでみよう。要所で内部設計のこだわりを感じさせるPCケースだけに、組み込みを行う事で気が付く事もあるだろう。まずは両サイドパネル、フロントパネル、トップパネル、Steel Mesh Left Panelを外し、身軽な状態で作業を始めよう。
トップパネルを外した開放状態で、マザーボードを搭載してみる。搭載テストには以前検証を行ったATX規格のASUS「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」を用意した。
搭載方法に特筆すべき事はなく、装着済みスタンドオフに付属のミリネジ「Motherboad Screws/2.5″SSD Screws」で固定すればいい。なお搭載後の周辺クリアランスを計測すると、フロント側「Cooling Bracket」までが約215mm、トップの「Removable Top Cooling Bracket」までが約70mmを残している。隣接するスルーホールまでの距離も十分で、PSU Shroud搭載のP12 Reverse PWM Fan(120mm)とのマージンも確保できている。
マザーボードを搭載したところで、CPUクーラーメンテナンスホールの様子を見ておく。マザーボードトレイ背面のカットアウトは、実測で幅約160mm、高さは約135mm。ASUS「ROG STRIX X870-F GAMING WIFI」との組み合わせでは、Socket AM5備え付けの金属製バックプレートが露出できている事がわかる。ここの様子から、CPUクーラーマウントホールを備えるIntel LGA1851/1700も十分な広さである事が想像できるだろう。
実際のところ、CPUクーラーメンテナンスホールそのものが気にならないSocket AM5。ただし広く確保できている事はお分かり頂けるだろう |
次にCPUクーラーの有効スペースを実測する。FLUX PROの公称値は全高190mmまで。例によってCPUの上にレーザー距離計を置き、マーカーを付けた左側面の強化ガラス内側までを計測すると、デジタル表示はぴったり190mmだった。
空冷最強と呼ばれるNoctua「NH-D15 G2」は全高168mmだから、サイドフロー型・ハイエンドCPUクーラーも問題なく搭載できる |
次に構成パーツの中でも重要な電源ユニットを搭載してみたい。既に触れたように、FLUX PROはATX規格の電源ユニットを通常の縦置きに加え、横置きにも対応できる。そのメリットはケーブルマネジメントで最も重要な裏配線スペースに向くことで、ケーブルの取り回しが格段に向上するというもの。想像だけでもその利便性は十分に理解できるはずだ。これを試さない手は無いだろう。ただし横置きの場合は奥行き180mmまでに制限される事は、パーツ選定の際に把握しておく必要がある。
こちらはオーソドックスな縦置き時。ハンドスクリューで固定された背面の枠をに電源ユニットをインチネジで固定。これをスライドしながら本体に挿入。枠を元に戻せば搭載作業は完了 |
搭載テストにはAntec「GSK 750W ATX3.1」を用意した。国内市場では2024年9月7日より販売が開始されたATX 12V 3.1準拠の80PLUS GOLD認証電源ユニット。奥行きは140mmで、120mm静音ファンが搭載されたフルモジュラータイプだ。
横置きにはインレットの位置や向きにより、4パターンを想定。GSK 750W ATX3.1の場合「PSU Type C」となり、通気孔仕様のPSU Side Mount Coverから伸びる中継ケーブルは、マニュアルの指示通りの”取り回し”で収める事ができた。そして電源ユニットを横置きにするには、Steel Mesh Left Panelの着脱式は必須である事が理解できるだろう。
中継ケーブルの柔軟性は一般的なACケーブルと同じく、決して柔らかくはない。ACケーブルの通り道となる左手中央のカットを利用し、見よう見まねで配線すればどうにか格好がついた |
PSU Shroud天板後方のPSU Shroud Coverを外した状態。電源ユニットの天板が確認できる |
ちなみに奥行き140mmのGSK 750W ATX3.1を搭載すると、右サイドパネルまでの距離は約70mm。ちょうどコネクタは抜き挿しがし易い位置に固定され、モジュラーケーブルも容易に接続ができる。以前、本体側面にモジュラーコネクタを備える電源ユニットを扱ったが、このスタイルは実に理に適っている。実現するにはある程度PCケース幅が必要だが、今後類似の採用例が増えてくるかもしれない。