エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1485
2024.12.14 更新
文:編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
Seasonic「Focus GX-1000 ATX3 (V4) – White」 市場想定売価税込33,080円(2024年12月4日発売) 製品情報(Seasonic) |
今回主役として取り上げるのは、ATX 3.1/PCI Express 5.1に対応した80PLUS GOLD認証の電源ユニット「FOCUS V4 GX」シリーズだ。一見すると、よくあるミドルレンジ向けの新製品と思うかもしれないが、ちょっと待ってほしい。
そもそも最初に「FOCUS V4 GX」と遭遇したのは、6月に開催されたCOMPUTEX TAIPEI 2024におけるSeasonicブースでのこと。Noctuaコラボのプレミアム電源など注目モデルが多数あった中で、開幕に合わせて出されたプレスリリースにて「Seasonicエンジニアリング・チームにとって今年最大の偉業」として紹介されていたのが、何を隠そうこの「FOCUS V4 GX」だった。
【関連記事】COMPUTEX:電源内部の冷却を変える、Seasonicの新技術「OptiSink」モデルが登場(2024.06.11 19:33 更新)
技術面における最大の成果としてCOMPUTEX TAIPEI 2024に出展されていた「FOCUS V4 GX」 |
その“技術的な偉業”が、「FOCUS V4 GX」にコンシューマ向け製品として初めて導入された「OptiSink Design」だ。PFC回路やLLC回路を構成する小型MOSFETをドーターボードに表面実装、それらを同じく表面実装タイプのヒートシンク(SMDヒートシンク)と銅箔層を用いて冷却するというもの。これは言葉で説明するより、実際に目で確かめた方が早いかもしれない。
本来であれば大型のヒートシンクがそびえ立っているエリアには、小型のコンポーネントが実装されたドーターボードが接続されているのみ |
Seasonicによれば、「OptiSink Design」を導入した回路は、その密度が従来から48%も削減されたという。これまで無骨なヒートシンクが林立していたエリアは大幅にスリム化、スペースに余裕ができたことで冷却効率が大きく改善することになった。
また、表面実装部品を多用する都合から、これらの製造工程は高度にオートメーション化されている。それにより製造エラーが大きく抑えられ、品質が向上した点も重要なメリットだ。
COMPUTEX TAIPEI 2024で展示されていた、新旧の回路の違いが分かりやすい。OptiSinkでは表面実装タイプのSMDヒートシンクおよびPCBの銅箔層で高効率な冷却が行える |
なお「OptiSink Design」は、「FOCUS V4 GX」シリーズおよび同時に発売されたエントリー向け「CORE V2」シリーズを皮切りに、今後も拡充予定。ハイエンドの「Prime」シリーズを含む、これから発売されるSeasonic電源のすべてに採用されるという。
さて“革新技術”の「OptiSink Design」に触れたところで、「FOCUS V4 GX」シリーズの電源ユニットとしての仕様も忘れずチェックしておこう。
最新規格のATX 3.1/PCI Express 5.1に対応する80PLUS GOLD認証取得の電源ユニットで、ケーブルタイプはフルモジュラー方式。ミドルクラスの製品としては珍しくスリーブ調のケーブルになっており、12VHPWRから信頼性を高めた12V-2×6コネクタも標準採用されている。
コンデンサは一次側と二次側ともに、すべて日本メーカー製の105℃品を採用。冷却機構は135mm径のFDB(流体軸受ベアリング)ファンが搭載されている。騒音値25dB~30dBでの動作を認定するCybenetics Labsの静音認証「CYBENETICS A-」を取得するなど、優れた静粛性も特徴だ。
また、背面にはセミファンレス機能のON/OFFを切り替えるスイッチも備え、常時回転を選択することもできる。
「FOCUS V4 GX」シリーズのパッケージ。基本的なデザインはブラックとホワイトで共通だが、ホワイトモデルはトライアングルの内側が白塗りになっている |
そのほかMTBFは100,000時間とされ、過電圧保護(OVP)/低電圧保護(UVP)/電流保護(OCP)/過負荷保護(OPP)/ショート保護(SCP)/過熱保護(OTP)の各種保護回路を搭載。メーカー保証は10年間の長期保証が提供される。
なおカラーと容量ラインナップは、ブラックカラーが750W/850W/1000W、ホワイトカラーは850W/1000Wという構成。今回はホワイトの1000Wモデル「Focus GX-1000 ATX3 (V4) – White」を借り受け、検証を進めていく。