エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1489
2024.12.25 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕
ディスプレイの背面にPCを搭載させた液晶一体型パソコン(オールインワン型PC)は一般的だが、デスクトップPCケースの前面に液晶ディスプレイを内蔵した製品は類を見ない。このほど発売された「Z10 DS」は、「あったら便利そう」を製品化した斬新なプロダクトであり、これを市販化させるZALMANは実にユニークで、柔軟なメーカーであることを再認識させられた。
紆余曲折があったため、当時のメンバーが残っているとは思えないが、現在のZALMANにも自由な発想は脈々と受け継がれている(画像は「RESERATOR 1」) |
古くは当時斬新だった扇形や花形(円形)ヒートシンクのCPUクーラーをはじめ、オールインワン型水冷ユニットの金字塔「RESERATOR 1」、全身ヒートシンクのファンレス筐体「TNN 500A」など、自作PC業界に数々の爪痕を残してきた。検証を前にして既に”いにしえの製品”のような扱いで恐縮だが、「Z10 DS」も後世に語り継がれる製品のひとつになりそうだ。
ZALMAN「Z10 DS Black」 市場想定売価税込32,800円前後(2024年11月1日発売) 製品情報(ZALMAN / 株式会社アスク) |
編集部が初めて「Z10 DS」の存在を知ったのは、COMPUTEX TAIPEIのZALMANブースだった。とは言うものの、今年のCOMPUTEXではなく昨年(2023年)で、初見から既に1年以上が経過している。
レポート記事を振り返ると既に完成版に近いクオリティで、国内代理店である株式会社アスク(本社:東京都千代田区)の担当者も「必ず国内で販売する」と鼻息も荒く、当時から期待の製品であったことを窺わせる。ようやく販売が開始されたのは今年11月1日で、市場想定売価は税込32,800円前後。カラーはブラックのみで他に選択肢はないが、読者の中には既に所有者という人もいるだろう。
COMPUTEX TAIPEI 2023のブースに登場した「Z10 DS」。製品化されないプロトタイプが多い会場内にあって、遜色ないインパクトとこれを製品化させるZALMANの意気込みにまずは賞賛を送りたい |
本体に触れる前に、Z10 DSのスペック表を確認してみよう。ケースタイプはミドルタワーで、対応マザーボードはATX、MicroATX、Mini-ITX。主素材はスチールで、副素材にプラスチック、さらに左側面には4mm厚の強化ガラスが使われている。外形寸法は幅220mm、奥行き474mm、高さ488mmで、本体重量は約9.5kg。奥行きと高さが500mmを切るため、サイズ感は”正しいミドルタワーPCケース”といったところ。大型PCケースを見慣れていると、少しコンパクトに感じるかもしれない。
数値を見る限りオーソドックスなミドルタワーといった印象だが、やはり前面に搭載される15.6型フルHDディスプレイは圧倒的な存在感を放っている。どうしてもギミックに目が行きがちだが、本稿ではPCケースとしての善し悪しを中心にすみずみを検証していきたい。
なお外装パッケージは幅325mm、奥行き570mm、高さ560mmで、付属品および緩衝材を含めた総重量は11kgとされる。ミドルタワーPCケースとしては中型ながら本体だけで約10kg。店頭購入からの持ち帰りにはカートの用意が無難だろう。