エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.1494
2025.01.09 更新
文:撮影・編集部 松枝 清顕/池西樹(テストセッション)
空冷CPUクーラーではトップクラスと誰もが認めるNoctua。そして同社による技術の粋を集めた製品が「NH-D15 G2」シリーズだ。今から約10年前に発表された「NH-D15」が第2世代(Generation 2)に移行し、COMPUTEX TAIPEI 2024で製品版を披露。モデル名に「G2」を加え、同年7月2日にプレスリリースを配信し、グローバル市場に向けて出荷を開始。日本国内では遅れること10月より販売がスタートしている。ちなみにエルミタでは7月に詳細検証を掲載し、製品の成り立ちから開発エピソード、そして冷却テストまでをお届けした。しかしこれでオシマイにはならない。
NH-D15 G2には3つのモデルがラインナップしているのはご存じの通り。そのうち、7月の検証では「NH-D15 G2(無印)」と「NH-D15 G2 HBC」の2製品で冷却性能のテストを実施。一方で「NH-D15 G2 LBC」についてはこれまで未検証の状態が続いている。理由はNH-D15 G2がデビューした当時、AMD Ryzenシリーズの新モデルがまだ登場していなかったためだ。
AMDの最新アーキテクチャ「Zen 5」と「第2世代3D V-Cache技術」を組み合わせにより従来モデルの欠点が解消された「Ryzen 7 9800X3D」。パフォーマンスについては11月に行った検証記事に詳しい |
その後、8月前半には「Ryzen 7 9700X」と「Ryzen 5 9600X」、後半には「Ryzen 9 9950X」と「Ryzen 9 9900X」がそれぞれリリース。さらに、11月15日には「Ryzen 7 9800X3D」が発売された事により、現在では3モデルの中でもAMD Socket AM5に最適化された「NH-D15 G2 LBC」が売れ筋とされている。そこでシリーズの最終検証としてNH-D15 G2 LBCを用意。本当にNoctuaが主張するようにAM5向けの性能を発揮するのか、比較検証を通じて確認してみたい。
そもそもNH-D15 G2シリーズをあまり知らないという読者もいるだろう。そこで今一度、NH-D15 G2の全ラインナップについて簡単に振り返っておこう。10年の開発期間を経て第2世代に移行したNH-D15 G2は、昨今のCPU事情により、それぞれに最適化されたモデルを3パターン用意している。
NH-D15 G2(製品情報) | NH-D15 G2 HBC(製品情報) |
NH-D15 G2 LBC(製品情報) |
最適化とは冷却性能を最大限に引き出すため、CPUに合わせて受熱ベースプレートの処理をそれぞれ調整。各モデルの性能を表した「一覧表」が用意されており、3モデルそれぞれの適正を「Excellent」「Good」「Not Recommended」の3段階で評価。これを見れば、最もパフォーマンスが発揮できるモデルを簡単に選ぶ事ができる。
なお熱心なエルミタ読者には馴染み深い、Noctua国内代理店の株式会社サイズ(本社:千葉県松戸市)・S氏によると、販売店に対しても「一覧表」を参考にするよう推奨しているそうだ。見方によっては神経質とも思える展開だが、この妥協しない姿勢が信頼感に直結しており、実勢価格税込約25,000円という”決して安価ではない売価”に対する説得力にもなっている。またNoctuaでは解説動画も公開されており、選定をする際には目を通しておきたい。
ちなみにそれぞれの受熱ベースプレートの画像を並べてみたところ、ご覧の通り目視では見分けがつけられない。その他の部分については3モデル共通だけに、この状態でシャッフルすると非常に面倒な事になる。とは言えそれぞれの適正通りCPUクーラーの性能が出れば、そのテスト結果からモデルを選別できるというワケだ。
NH-D15 G2 |
NH-D15 G2 HBC(High Base Convexity) |
NH-D15 G2 LBC(Low Base Convexity) |
そんなNH-D15 G2について理解を深めたところで、次はいよいよ冷却性能テストを実施する。本稿の主役、NH-D15 G2 LBCはホントウにAM5向けなのだろうか。