エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.12
2009.06.26 更新
文:テクニカルライター Jo_kubota
「ENERMAX REVOLUTION85+」(型番:ERV850EWT) 基本製品データ |
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出力:850W 規格:ATX12V v2.3 及び SSI PSDG 2008/2009パワーサプライデザインガイド及び、SSI PSDG 2008 1.0 及びEPS12V V1.92/2.91/2.8の下位互換 搭載ファン:135mm 2ポールベアリング(自動可変) 効率性:最大91%(230VAC)最大88.6%(115VAC) サイズ:150(幅)×190(奥行)×86(高)mm 重量:約2.95kg 保証:3年間 発売日:2009年4月11日 店頭想定売価:35,000円前後 |
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製品情報(正規代理店:株式会社リンクスインターナショナル) http://www.links.co.jp/items/ener-power/erv850ewt.html |
ENERMAXのECO80+シリーズを前回紹介したが、ECO80+シリーズは、いわば普及モデルであり、車で言うところのエコを重視したファミリーカー的な位置づけだ。それに対し、「ENERMAX REVOLUTION85+」はより大排気量のラグジュアリーモデル、あるいはハイパワーなスポーツカーといった位置づけになるだろうか。
近年、大容量の電源ユニットは3つの傾向がある。一つはCorsairのCMPSU-750TXJPのように12Vシングルレールで賄う方式のもの。もう一つは、Corsair CMPSU-1000HXJPのように40Aの12Vラインを2つ用意して負荷を2つに分散させるもの。そして最後は、20~30Aのラインを3つ以上用意して、ラインごとの負荷を細かく分散させようという方式だ。
ENERMAX REVOLUTION85+シリーズは、3番目の方式を取っている。いずれの方式も一長一短があり、一概にどれが優れている、とは言えないものの、ENERMAX REVOLUTION85+が、複数の12Vラインを用意した一番の理由は、恐らく「1ケーブルにつき高負荷1デバイス」という使用を想定したものだろう。
というのも、大抵の場合、1ケーブルに接続できるデバイス数はおのずと制限される。つまり複数のケーブルを複数のデバイスに接続するなら、そのラインごとに12V出力を用意しても問題はないわけだ。問題は1ラインあたりの容量だが、ENERMAX REVOLUTION85+シリーズでは12V 1ラインあたり30Aを用意し、これが全部で6ライン用意される。これは850W~1050Wモデルまで共通し、異なるのはコンバイン出力時の総合出力だけだ。850Wでは70A、950Wモデルは79A、1050Wモデルは87Aとなっている。
ENERMAX REVOLUTION85+ DC Output | |||||||||
+3.3V | +5V | +12V1 | +12V2 | +12V3 | +12V4 | +12V5 | +12V6 | -12V | +5Vsb |
25A | 25A | 30A | 30A | 30A | 30A | 30A | 30A | 0.6A | 5A |
160W | 840W(70A) | 7.2W | 25W |
ENERMAX REVOLUTION85+の特徴として、12Vラインごとに接続先が明確になっていることが挙げられる。12Vラインが複数ある電源は多いものの、ほとんどの電源ユニットが、どのコネクタがどのラインに繋がっているのか、非公開な製品が多い。しかし、ENERMAX REVOLUTION85+はそれが開示されており、この点は非常に好感が持てる仕様だ。
ENERMAX REVOLUTION85+の12Vライン出力は以下のようになっている。
12V1:マザーボード(24P) 12V2:CPU(8P&4P+4P) 12V3:PCI Express(6P+2P) 12V4:着脱コネクタ(赤で囲んだ部分) 12V5:着脱コネクタ(青で囲んだ部分) 12V6:着脱コネクタ(黄で囲んだ部分) |
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着脱コネクタの黒いコネクタはSATAや4ピンのデバイスコネクタを接続する。そして赤いコネクタはPCI Expressコネクタとなっている |
12Vラインばかりが、注目される昨今の電源ユニットだが、ENERMAX REVOLUTION85+の+5VSBは、最大5Aをサポートしている。+5VSBは、スタンバイ電源として使用されるため、例えばACPI S3モードに移行した際、大量のメインメモリを搭載したPCでは+5VSBをかなり多く消費する。これは他のデバイスの電力は止まっても、そこから復帰するためにはメモリの内容を保持している必要があり、このときメインメモリに供給する電力して+5VSBが使われるためだ。
また、スタンバイ時でもUSBへの電力は常に供給されている。マウスやキーボードを押してサスペンドやスタンバイから復帰できるのも、USBに電力が供給されているからこそ。このとき、大量のUSBデバイスを接続しいた場合、当然ながら、+5VSBが、かなり消費される。よって+5VSBの出力は大きくて困ることはないのである。多数のUSBデバイスを接続し、メモリ枚数が多いシステムでは、+5VSB出力にも気を配って電源ユニットを選びたい。