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エルミタ的「一点突破」 CPUクーラー編 Vol.26 Cooler Master 「TPC 812」検証
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バーティカルベイパーチャンバーの温度推移
「一点突破」ではお馴染みのヒートシンクポイント別温度計測。その前に今回は趣向を変え、バーティカルベイパーチャンバーの表面温度を計測してみた。興味本位の域は出ないものの、“何かが”読み取れるかもしれない。
テストではデジタル温度計を2個用意。バーティカルベイパーチャンバー「A」と「B」に温度センサーをテープで貼り付け、それぞれ計測を試みた。
バーティカルベイパーチャンバー温度テスト
【A】(上段)/【B】(下段)
単位℃/室内温度25.9℃
バーティカルベイパーチャンバー温度テスト
(Silent mode adapter使用時/1,600rpm)
【A】(上段)/【B】(下段)
単位℃/室内温度25.9℃
結果はご覧の通り。熱移動を行う部材の表面温度から“何かを”読み取る事は難しい。とは言え懲りずにオーバークロック状態でも温度計測を行ってみることにした。なおオーバークロック時はより差を見るべく、「Silent mode adapter」使用時のみの計測としている。
バーティカルベイパーチャンバー温度テスト(4.43GHz OC)
(Silent mode adapter使用時/1,600rpm)
【A】(上段)/【B】(下段)
単位℃/室内温度25.9℃
CPUコア温度が上昇している事から、標準時よりもバーティカルベイパーチャンバーの表面温度は明らかに高くなった。受熱ベース部から放熱フィンへ移動させる熱が高ければ、自ずと温度は高くなる。つまりこのテストで分かったのは、至極当たり前のことだけ。得られるものはあまり無かった。
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ヒートシンク全体に熱は行き渡っているか?ポイント別温度計測
やや回り道をしてしまったが、最後にポイント別の温度計測結果を見て頂こう。従来通り高負荷時、非接触型温度計で計測を行っている。
※括弧内は同一ポイント裏側
30℃に満たない黄色い部分はトップ部に集中。多くは30℃以上に達している。ただし、この数値が高いからといって“出来の悪い製品”ではない。CPUクーラーはそもそも、CPUコアからの熱を存分に吸い出し、放熱する役割を果たす。つまりヒートシンクの温度が高くなるのは、“十分に仕事をしている言い換える事ができるワケだ。
テスト結果を見ると、最も高い温度を示したのは、マザーボードの電源回路に近い部分の37.1℃だった。CPUの熱を考えると、特別高い数字ではない。その他箇所も30℃をやや超すレベルで、ヒートシンク全体に熱が行き渡っている事がわかる。
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停滞気味の市場に新技術を投入した、Cooler Masterに賛辞を惜しまず
6月の終わりに到着した評価サンプル。いつも通りすぐに動作させることはせず、作業机の傍らに置き、暇さえあれば手に取ること数日。一見なんの変哲も無いサイドフロー型CPUクーラーに、それほど期待値は上がらなかった。しかし発売日が迫ると共に、重い腰を上げてテストを進めて行くにつれ、完成度の高さを思い知ることになる。
バーティカルベイパーチャンバーを初めて採用するCPUクーラーの謳いは伊達では無く、普及価格帯以上の製品で大ヒット作がなかなか出なかったCooler Masterの“本気度”を窺い知ることができた。
COMPUTEX TAIPEIで披露されてからというもの、市場での注目度は非常に高かったと聞く。これは“出尽くした感”が強く、停滞気味であるサイドフロー型CPUクーラーに対する期待感であり、「TPC 812」はそれに十分応える事ができるだろう。
【静音性】 5.0ポイント
静音アダプタ「Silent mode adapter」を使っても、Intel Core i7-3770Kの熱を十分に押さえ込む事ができる点は評価が高い。テスト中、最大回転になることは希で、常用レベルでは十分に静音性は確保されている。ただし1点付け加えるとすれば、最大回転になった場合、冷却ファン固定部分から共振音が出る事があった。どうやら冷却ファンブラケットの固定が不十分だったようで、ツメを押さえつけるとその音は消えた。マザーボード固定には一度冷却ファンを取り外す必要があるため、元通りにする際にチェックしておくことをお勧めする。
【冷却性能】 5.0ポイント
空冷では現状最上位クラスに位置するモデルと言っていいだろう。テスト結果を見れば明らかだ。特にIntel Core i7-3770Kの純正クーラーが非力だけに、このスコアはかなりインパクトがあるワケだが、その存在を一切忘れても、冷却能力は極めて高い。
【取り付け易さ】 5.0ポイント
このモデルに限らず、Cooler MasterのCPUクーラーの取り付け方法は完成度が高い。取り付けにくさを感じることなく、スムーズに作業を行うことができた。ただ本件とは少々外れつつも敢えて指摘すると、マニュアルの図説が小さすぎる。もう少し大きくプリントすれば、ライトユーザーでもテキストを読まずに作業できるだろう。
【コストパフォーマンス】 5.0ポイント
正直コストパフォーマンスは4.5ポイントと迷った。市場想定売価税込9,000円前後に設定された「TPC 812」は、決して手軽に購入できるCPUクーラーとは言い難い。本来コストパフォーマンスとは、売価より物の価値が勝る意味に置き換えられるが、“価値”への評価は人それぞれ。これは静音と感じるか?に等しく、極めてジャッジしにくいワケだが、一般的に原価が高いと言われるベイパーチャンバーを採用し、搭載しただけの冷却能力は発揮されている。Cooler Masterがある意味停滞気味のサイドフロー型CPUクーラーに新技術を投入し、市場に刺激を与えた点も十分考慮したい。価格なりの価値は性能だけではないという観点から、異例の満点で勘弁していただきたい。
CoolerMaster 「TPC 812」総合評価
機材協力:Cooler Master
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