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誰もが期待する240mmラジエター仕様の「CWCH100」


 最後にテストしたのは、240mmラジエター仕様で期待高まる「CWCH100」だ。このモデルも以前検証を行っているため、おおよその挙動は覚えているものの、すでに約1年が経過しており、主要プラットフォームも刷新されている。ここは新たな気持ちでテストしてみたい。
 「CWCH100」のポイントは、なんといっても120mmファン2基を並べて搭載できる240mmサイズのラジエター仕様である点に尽きるだろう。今では搭載できるPCケースの選択肢も多く、さらに見た目からも冷えそうな雰囲気は十分にあり、非常に楽しみだ。なおラジエター設置場所がトップ部になることから、PCケースの背面120mmファンを装着していることから、これまでの2モデルに比べ、PCケース内の排気は理論上、向上されている。

注釈:今回の構成では、マザーボードMSI「Z77A-GD80」のヒートシンクと120mmファンが物理的干渉を起こしている。テストにあたり、支障が無い範囲で搭載させているが、実際に同様の構成で組み込む場合は、冷却ファンの取り付け位置を変更するなど工夫が必要


CPUコア温度計測(1,300rpm設定)
単位:℃/室内温度:24.3℃

CPUコア温度計測(2,000rpm設定)
単位:℃/室内温度:24.3℃

CPUコア温度計測(2,600rpm設定)
単位:℃/室内温度:24.3℃

 アイドル時はどんなCPUクーラーでも計測タイミングでバラツキが付きものである事から、高負荷時に注目したい。結果は回転数毎、きれいに数字が並んだ。最も低速な1,300rpmで58.2℃、中速の2,000rpmで56.7℃、高速2,600rpmで56.5℃となり、コア温度の高いCore i7-3770Kでは十分に冷却できている。また、最もシンプルな「CWCH60」の60.2℃に比べて、劇的に差が出たとは言い難いながら、面目を保つ結果は評価していいだろう。
 ひとつ指摘しておくと、2,000rpmと2,600rpmを比べると、結果は誤差の範囲程度であり、Core i7-3770Kの定格使用では高回転の恩恵はあまりないようだ。オーバークロックで運用する場合など、用途によって使い分ける“600rpmのマージン”と考えよう。


騒音値計測
単位:dBA/室内騒音値:29.7dBA

 最後に騒音値について。1,300rpm時で41.7dBAは常用許容範囲ながら、中速設定から突如風切り音が目立ちはじめる。数値は2,000rpm/44.3dBAと2,600rpm/45.1dBAだが、いずれも静音動作からは外れてくる。Core i7-3770Kの定格運用であれば、1,300rpm設定でも十分に冷却は任せられることから、“普段使い”であれば、低速動作をお勧めしたい。



気掛かりなPCケース内部温度

 オールインワン水冷ユニットは、PCケースに用意されたケースファンスペースを利用してラジエターを搭載させる。つまりPCケースの冷却ファンレイアウトによっては、従来吸排気を行っていた冷却ファンがラジエターに置き換えられる事で、PCケース内部の温度が上昇してしまうのではないかという懸念がある。
 ここではPCケースの上部と下部にデジタル温度計を設置し、アイドル状態(a)と高負荷状態(b)での温度を計測してみることにした。

a=アイドル時/b=高負荷時 単位:℃/室内温度:24.3℃
※CWCH100は、リア排気120mmファン動作

 熱源(CPU)に近いPCケース上部よりも、下部の方が低い温度結果になるかと思われたが、それを裏付けるほどの差は出なかった。さらに「CWCH80」のみラジエター搭載の120mmファンはケース内部側に吹き付けるエアフローレイアウトが推奨されているため、それに準じた搭載方法を試みているが、その影響も数値には表れていない。今回のテストでは、高負荷状態30分経過時の温度を計測しているが、常時稼働になると、また違いが出るのかもしれない。



総評:さて、どれを選ぼうか。

 “作業用メインPC”の熱対策改善を目的に、CORSAIR「CWCH60」「CWCH80」「CWCH100」の3モデルを改めて検証したが、さてどれを選ぶべきか。
 常時稼働による“ある程度”の冷却能力と静音性を考慮すれば、240mmラジエターを採用する「CWCH100」が突出しているように思えるが、冷却ファンの中速/高速回転時は少々音が気になる。また「CWCH80」はパワフルな冷却を目的としたデュアルファン仕様である事から、オーバークロック用途を見越した性格が強い。最もオーソドックスな「CWCH60」は、上位2モデルほどの冷却能力は望めないものの、中堅から上位クラスに位置する空冷クーラーさながらのパフォーマンスを秘めていた。
 このようにいずれも捨てがたく、上手く棲み分けされているからややこしい。冷却能力で行けば「CWCH100」「CWCH80」だが、動作音が少々気になる。しかし冷却ファンを変えて運用する手があり、いくらでも改善できる。一方で高負荷状態が続く事がない仕事用のメインPC用だけに、デフォルトで静音動作が可能な「CWCH60」も魅力的だ。

 自らチョイスしてお気に入りのPCが構築できるのは、自作PCならではの醍醐味。オールインワン水冷ユニットの佳作3モデルを前に、もう少し悩むことにしよう。

協力:CORSAIR Memory
株式会社リンクスインターナショナル
© GDM Corporation All Rights Reserved
 
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