|“極冷”実践の下ごしらえ 〜準備編〜
ここからは秋葉原のPCパーツショップ「OVERCLOCK WORKS」代表の渡邉氏の協力により「EXTREME COOLING CUP」の実地セッションに入っていこう。Cooling Cup自体の入手性が良くなったとはいえ、決して万人向けとは言いがたい“極冷”の世界。だが、導入手順から動作まで順を追って解説していくことにより、より身近なものに感じて頂ければと思う。
では事前に用意するものをチェックしていこう。なお今回のセッションではCPUにAMD「FX-8150」(Socket AM3+/8コア/3.6GHz)、マザーボードにASUSTeK「Crosshair V Formula」(Socket AM3+/AMD 990FX+SB950)を用意した。
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OVERCLOCK WORKSのオリジナル商品となるXL-ATX対応PC用テストボード「MANAITAN-X」(2,980円)。CPUの極冷にベンチ台は必須だ |
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ベンチ台とマザーボード間に挟むベース素材。ホームセンターで入手可能な断熱材や段ボール類、発砲スチロールなどがベストで、多少弾力があるものが適している。これはのちに解説する“養生”を行う際の重要なポイントとなる |
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温度計と温度センサー。どちらも極冷中の温度管理には欠かせないアイテムだ。ちなみに液体窒素冷却時には-196℃付近まで低下するため、その温度域をサポートする製品を用意する必要がある(実売価格は約20,000円前後) |
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マスキングテープ。養生に用いるペーパーや温度センサーの固定等に使用。100円ショップで入手可能なものでOK |
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クッキングペーパー。代用品としてティッシュペーパーでも可。パーツ類、特にマザーボードを結露や浸水から守る重要な役割を担当。ドラッグストア等で購入可能 |
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|極冷で使用する冷媒を確認しておく
引き続き事前の準備編となるが、ここでは「EXTREME COOLING CUP」で利用可能な冷媒について紹介しよう。
まずは今回のテストでも使用するドライアイス(+無水エタノール)。−79℃以下のドライアイスを、凝固点の低い無水エタノールを入れることで冷却をおこなう。いずれも簡単に入手は可能。ドライアイスは氷屋さん(最近見かけないが)もしくはインターネット通販を使えば1kgあたり500円程度で購入できる。また無水エタノール(約1,500円前後)はドラッグストア等で簡単に見つけることができるだろう。なお目安としては、ドライアイス5kgで半日程度の冷却が可能。もちろん挑戦するプラットフォームに左右されることは言うまでもない。
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今回テスト向けに用意したのは、約2kgのドライアイス。当日は午前中に購入し、発砲スチロールの箱に入れて保存していたが、テストを開始した夕方にはひと回りほど小さくなっていた。なお、気化するため絶対に密閉容器に収納してはならず、部屋の換気にも配慮しなくてはいけない |
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「EXTREME COOLING CUP」に注ぐための無水エタノール。念のため断わっておくと可燃性液体であるため周辺では火気厳禁 |
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「CPUの極冷」ではお約束といえるのが液体窒素である。沸点が−196℃と低いため、ドライアイスに比べ、さらに冷却することができる。気になる入手先は、高圧ガス販売店。保管するには専用容器(デュアー)が必要で、10リットル用で約100,000円と非常に高価。なお、液体窒素自体は1リットルで500〜1,000円程度とのことだが、別途配送費がかかる場合もある。こちらも挑戦するプラットフォームに左右されるが、目安としては数時間の冷却に10リットル以上が必要。完全に上級者向けの冷媒だ。
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取材時に偶然保管されていた液体窒素。こちらは約100リットル程度が保管されているもので、高圧ガス販売店より直接配送してもらい設置まで行ってもらうという。ここから小さい専用容器(デュアー)に移し、さらに魔法瓶やカップめんの空容器等を使い「EXTREME COOLING CUP」へと注ぐ |
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ドライアイスも液体窒素も直に触れるのは大変危険だ。手袋は軍手ではなく、できる限り液体を通さない革製手袋の着用をオススメする |
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|身近な極冷のためのマメ知識 〜なぜ氷ではダメなのか〜
普段我々の身近にあって冷えるものといえば、まっ先に「氷」を思い浮かべるだろう。入手性は言うに及ばずだが、極冷用の冷媒としては不適当だ。
その理由は、揮発せず融解すると液体に戻る氷の特性上、Cooling Cup内の水量が増え、追加投入が困難になる。また結露した水滴が凍結しないために、養生が湿り易くなるという問題もある。 |