|オーバークロックの効果をベンチマークでチェック
オーバークロック動作の確認ができたところで「CINEBENCH R11.5」「Sandra 2011 SP5」の2つのベンチマークソフトを使ってその効果を確認してみることにしよう。
■「CINEBENCH R11.5」
まずシングルコアのスコアを確認すると、定格とプリセット最高クロックの4.4GHzで約18%、手動設定の4.7GHzでは約25%スコアが向上している。次にマルチコアのスコアだが、こちらは定格と4.4GHzで約26%、4.7GHzでは約34%とシングルコアよりも更にスコアが上昇していることがわかる。これは、シングルコアテストの場合には、TurboBoostにより3.7GHzまで動作クロックが上昇するのに対して、マルチコアテストの場合は3.5GHzまでしか上昇しなかったためだと思われる。
■「Sandra 2011 SP5」
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Sandra 2011 SP5 マルチメディア性能 |
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次に「Sandra 2011 SP5」の「プロセッサの性能」と「マルチメディア処理」のスコアの違いを確認してみよう。実行した2つのテストでは結果にほとんど違いはなく、定格と4.4GHzで約21%、4.7GHzでは約29%と「CINEBENDH R11.5」と同様、大幅にスコアが向上している。
2つのベンチマーク結果を確認すると、手動設定はもちろんプリセット設定でも大幅にスコアが上昇している。オーバークロックに慣れていないならまずはプリセット設定を試してみるとよいだろう。
|消費電力の違いを確認
今回、手動設定ではなるべく高クロックを狙う目的から、コア電圧を1.420Vまで上げている。それがどの程度消費電力に跳ね返ってくるのか、最後に確認しておくことにしよう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時は「CINEBENCH R11.5」を動作中で最も高い値とした。
アイドル時の消費電力は「Enhanced Intel SpeedStep Technology(EIST)」によって動作周波数、コア電圧とも定格クロックと同じレベルまで下がることから違いがでなかった。
高負荷時は、4.0GHzで23W、4.2GHzで32W、4.4GHzで49Wとプリセットモードでも消費電力の増加はかなり多い。さらに手動設定の4.7GHzではコア電圧を上げた影響から、159W増と強烈に消費電力が増加している。実際に運用する場合は冷却だけでなく、電源にもしっかりと気を配る必要がありそうだ。正直なところ、安定運用を考えるならプリセットモードによるオーバークロックのほうが性能と消費電力のバランスがよさそうだ。
|エントリーモデルとあなどる事なかれ
|ハイエンドにも匹敵する高いオーバークロック性能を実現した「GA-X79-UD3」
ここまで、X79マザーボードのエントリーモデル「GA-X79-UD3」をチェックしてきた。UEFIには豊富なオーバークロックが揃い、ハードウェア的にもデジタルPWMや8フェーズ電源を搭載するなど、十分オーバークロックに対応する事がお分かり頂けただろう。特に、手動設定ではコア電圧が大幅にアップしたことから、消費電力は定格動作から150W以上も上昇しているが動作は安定しており、マザーボードの温度も低く抑えられていた。
さらに最大4Wayのマルチグラフィックスに対応し、SATAポートやUSBポートも多数搭載するなど、拡張性の高さも申し分ない。当然価格はエントリーモデルたる20,000円前後と、Intel X79 Expressマザーボードのラインナップ中、コストパフォーマンスに優れた“良品マザーボート”といえるだろう。
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