|GPUコアのオーバークロックを試す
最後にCPUに内蔵されるGPUコアのオーバークロックについて簡単に紹介しておこう。Ivy Bridgeでは、Sandy BridgeからGPU性能が大幅に向上しており、ライトな3Dゲームならプレイできる性能を備えている。とはいえ、高解像度や画質設定を上げると性能不足を感じる場面も出てくるだろう。そんな場合、まずGPUコアのオーバークロックを試してみてほしい。
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内蔵GPUコアの倍率は「GT Ratio」で変更する。なお「Core i7-3770K」の標準クロックは23倍の1,150MHz |
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「GPU Voltage」では、GPUコア電圧を調整可能。GPUクロックにもうひと伸び欲しい時には、電圧を上げてカツ入れするといいだろう |
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GPUコアのオーバークロックで重要な項目は、GPU倍率を調整する「GT Ratio」とGPUコア電圧を調整する「GPU Voltage」の2つ。今回のCPUでは、GPU倍率のみの変更で1,400MHz、GPUコア電圧を1.25Vまで引き上げることで1,550MHzまで安定動作が可能だった。
|「3DMark 11 Version 1.0.3」で効果を確認
オーバークロック効果を「3DMark 11 V1.0.3」で確認していこう。なお今回は内蔵GPUのため、プリセットは「Entry」で計測を行なっている。
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3DMark 11 Version 1.0.3 Entry |
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定格と比較するとGraphics Score、総合スコアとも1,400MHzで約20%、1,550MHzで約30%と大幅に向上し、ワンランク上の性能が実現できる。まずはGPUコアのオーバークロックを試し、それでもパフォーマンス不足を感じるようなら外部グラフィックスカードの購入を検討するといいだろう。
|消費電力をチェック
オーバークロックによって、どの程度消費電力が増加するのか確認しておこう。アイドル時は10分間放置した中で最も低い値、高負荷時は「3DMark 11 V1.0.3」実行中で最も高い値とした。
定格と1,400MHz動作を比較するとアイドル時は全く同じ。高負荷時も消費電力の推移は1,400MHz動作のほうがやや高めながら、最高値は変わらなかった。一方、電圧を上げた1,550MHz動作ではアイドル時で6.2W、高負荷時で4.3W増加した。消費電力の増加が気になるならGPUコアのオーバークロックは動作クロックの調整に留めておくと無難だろう。
|簡易オーバークロックで楽しむもよし、詳細設定で極限まで追求するもよし。楽しみ方はユーザー次第
今回はMSI「Z77A-GD65」を使った「Core i7-3770K」のオーバークロックについて検証してきた。「OC Genie II」や倍率変更による簡易手法でも4GHzを超えるクロックが実現可能。さらにBLCKや電圧を調節することで4.77GHzという大幅なクロックアップに成功しており、性能を重視するユーザーにとってオーバークロックはとても魅力的だろう。
最近ではIntel、AMDとも倍率ロックフリーのCPUをラインナップさせるなど、“推奨とまでは行かない”ものの、許容する姿勢を見せている。それに合わせて「Z77A-GD65」のように耐性の高いマザーボードも入手でき、ひと頃に比べればオーバークロックのハードルは大きく下がっている。あくまで自己責任だが、今回の検証を参考に、自作の楽しみ方のひとつであるオーバークロックに挑戦してみてはいかがだろうか。
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