「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」
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エルミタ的速攻撮って出しレビューVol.44 ゲーミングPCケースのNewスタンダードを探そう企画 Antec Six Hundred SEが結構よさそうだ。
ゲーミングPCケースのNewスタンダードを探そう企画
Antec Six Hundred SEが結構よさそうだ。
2010年6月19日 17:30 TEXT:GDM編集部 松枝 清顕
今回の「エルミタ的速攻撮って出しレビュー」は、発売以来気になっていたエントリークラスのPCケース、Antec「Six Hundred SE」を採り上げる。トップ面にレイアウトされた200mmの大口径ファンをベースにデザインされたゲーミングPCケースは、ライバル集団から一歩抜け出す事はできるのだろうか。Newスタンダードモデルとして君臨できる可能性を探る。
さらに本稿の最後では、発売が開始されたAntecPCケースのDNAを受け継ぐノートPCクーラー6種も登場するので、乞うご期待。
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ありすぎるライバルの中から、良いケースを選ぶということ
ほぼ毎週のように新型PCケースがリリースされている。一体何年前からこのスケジュールが続いているのだろうか。さすがに数える気にもならないが、これほど数多くの種類があるが故、ファーストロットで消えて行くモデルも数知れず、激戦区の中で定番モデルとして生き残るのは至難の業となっている。
エルミタでも多くのPCケースを扱うが、ここで改めて現在定番と言われているPCケースに共通するものは何かを整理してみたい
。
・高冷却(トップ大口径ファン/フロント大口径ファン)
・電源ユニットボトムレイアウト
・複数台搭載可能なハードディスクベイ
・ハイエンドグラフィックスカード搭載可能
・良好なケーブルマネジメント
・静音性
・高剛性
・コストパフォーマンス
こうして列挙して行くと、今やどれもこれも当たり前の仕様であり、“売れ筋”と言われるモデルはこれらがほぼ全てクリアされ、今や「必須条件」ともなっている。
ライバルの多いPCケースだが、「失格」の烙印を押されないためにもメーカーは完成されたこれらのスペックをベースに、日々試行錯誤を繰り返している。“もうこれ以上良くはならないだろう”と思いながらも、未だ確実に進化しているPCケースはこれからも話題に事欠くことはないだろう。
一方我々ユーザー側は、数多あるモデルの中から、用途にあった最良のPCケース選びができる目を日頃から鍛えておきたいものである。
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エルミタ的に“当たりを付けた”NewスタンダードPCケース
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Antec「Six Hundred SE」とはどんなモデルなのか?
さて、熾烈を極めるPCケース市場だが、先日エルミタ編集部に1台のPCケースが届けられた。それは日本国内市場に今年の3月登場した
Antec「Six Hundred SE」
だ。
Antecのゲーミングミドルタワーのカテゴリに属する「Six Hundred SE」は実売価格10,000円〜12,000円前後と、同社ラインナップではエントリークラスの価格設定がなされている。
未だにAntecと言えば「P180」というイメージから離れられない筆者にとって、実はこの価格帯のPCケースはいったいどんなモデルなのかと、発売以来少々気になっていた。そこはAntec、築き上げたブランドを汚すような真似はしてこないだろう。
そこで今回は秋葉原に今年の春頃にお目見えした「Six Hundred SE」を軸に、エントリークラスPCケースの“今”を探っていこうと思う。早速スペックから確認して行く事にする。
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「Six Hundred SE」の外観をチェックしてみる
ここからは「Six Hundred SE」の外観からチェックしてゆこう。“ゲーミングPCケース”を謳うミドルレンジモデルだけあって、非常に特徴的なデザインが採用されている。
なんと言っても押し出しの強いトップに搭載された200mmファンのグリル部は圧巻で、内部を見ずとも高エアフローが軸に設計されている事は想像に難くないだろう。
これを中心に、アーチ状のプラスチック製装飾パーツが伸び、どこにでもあるATXケースではないゲーマー向けデザインが採用されている。
デザインに関しては完全に好みの問題なので、善し悪しを言うものではないが、筆者個人の意見としては意外にきれいにまとめられていると感じた。
冒頭で触れたように、たくさんのライバルがひしめくPCケースカテゴリの中で、いかに主張するかは重要なポイント。良いも悪いも話題に上らなければ始まらないわけで、その上ゲーミングPCケースカテゴリの中にあっては、強すぎるくらいの個性があっても良いだろう。
トップ面200mmファンを中心にデザインされた「Six Hundred」。そこから伸びるアーチ状の装飾パーツはフロントパネル縁まで続き、全体のバランスが採られている。なおドライブベイは5.25インチ×3、2.5インチSATAホットスワップベイ×1、3.5インチシャドウベイ6、2.5インチシャドウベイ×1と十分な拡張性を備える
トップ部に搭載された200mmファンはこのモデルの象徴的な部分。ここを中心に全体のバランスが採られている
トップからリア部。それにしてもどこから見ても200mmファンが目立つ
フロントトップ部I/OポートにはUSB2.0×3を装備
リア部には水冷クーラー用ホース穴が2つ用意されている
便利なフロントアクセスタイプの2.5インチSATAホットスワップベイ。SSDを装着すると画像のような感じに。SSD普及により、昨今はPCケースのドライブレイアウトも大きく変化してきている
インシュレーターは標準的なゴム足が装着される
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「Six Hundred SE」内部をチェックしてみる
次にPCケースには重要な内部構造をチェックして行きたい。
側面パネルを外した状態を改めて見ると、若干拡張スロットスペース(奥行き)が短いようにも感じるが、3.5インチハードディスク搭載箇所を変える事で、ハイエンドモデルのマルチグラフィックス構成(2枚挿し)にも対応してしまう(これについては後述)。
またドライブベイ部の鉄板はトップ面からボトム面までストレートに伸びる事で、PCケース全体の剛性強化に貢献している。一昔前のエントリークラスPCケースの場合、どうしても上から力を加えると全体が“きしむ”または“歪む”事が多々あったが、「Six Hundred SE」ではまずその心配は無い。現在のエントリークラスPCケースは本当にクオリティが高くなったものだとつくづく感じる。
CPUクーラーメンテナンス用スルーホールを装備。たったこれだけの事を数年前のモデルでは一切採用されていなかったのが不思議。内部もオールブラック塗装が施され、精悍なイメージと高級感を効果的に演出
ボトム部には電源ユニット搭載スペースが用意されている
電源ユニットボトムレイアウトスペース部。右端にあるドライブベイの使用状況により異なるものの、ここをフリーにすれば、実測値280mm強の奥行きスペースが確保される。そんなに長い電源ユニットはまずないため、「Six Hundred SE」ではあらゆるモデルが搭載できると言って良いだろう
拡張スロットは一般的な7本仕様
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「Six Hundred SE」のファンレイアウトをチェックしてみる
次はこのモデル最大の特徴となる、高エアフローレイアウト機構をチェックして行こう。
なんと言ってもトップ面の巨大な200mm
排気ファンは、「Six Hundred SE」を語る上では外せない。実用だけでなく、アイキャッチの面でもここを中心にこのモデルが成立していると言っても過言ではないだろう。
象徴的な大口径200mm排気ファン。ゲーミングPCケースらしく、BlueLEDが内蔵され、よりアグレッシブな印象を与える。ただしLEDファンには好みがあるためON/OFFスイッチが用意されており、“静かに”使いたいユーザーも安心してこのモデルがチョイスできる
明るい室内でBlueLEDを発光させるとこのように。スケルトンブレードを採用するため、実に美しく輝く。正直に言うとLEDファンは筆者の好みではなかったが、大口径ファンのアクセントとしては悪くない
リア120mmファンは回転数3段階切替式の「TriCoolファン」を採用。Antecブランドの共通する特徴でもある
これが背面に用意されたトップファンとリアファンの各スイッチパネル。回転数と発光ON/OFFができる
サイドパネル部にはオプションで120mmファンを1基増設する事ができる。拡張カード真横にレイアウトされているため、消費電力の高いグラフィックスカードを搭載させた場合には効果的であろう
フロントパネルを外すと、下部に120mmフロント吸気ファンカバーの取り外しができる。標準で1基搭載されるのは2段階回転数切替に対応する「TwoCoolファン」で、HDDの直接冷却とケース内部へフレッシュな外気を取り込む役割を果たす。なおHDD多搭載ユーザー向けに、オプションでもう1基120mmファンを増設する事もできる
フロント吸気ファンカバーはツメを倒す事で簡単に着脱ができる
フロントパネルファン搭載部には着脱可能な防塵フィルタが装備されており、クリーニングも簡単
ファンの数はこれで十分
このように、「Six Hundred SE」では、最大で5基のファンを搭載させることができる。惜しむらくはボトム部にファン搭載スペースが無い点となるが、それを十分にカバーしてしまうのは、やはりトップ200mm排気ファンの存在だろう。
言うまでもなく熱はどんどん上部に移動するため、大口径200mmファンで休む間もなく外部に熱が排出されて行く。
今はトップ部に140mmファンを2連で搭載させるモデルが流行だが、
200mmファンの方が当然ブレード1枚の面積が広いため、吸気させるにはこちらの方が有利
かもしれない。
ここまでファンレイアウトを見てきたが、次は実際にRadeon HD 5870のCrossFire構成での内部温度や実際に構成パーツを組み込んだ場合の内部を画像中心にご紹介しよう。
<次のページに続く>
【Six Hundred SE】 Spec
カラー:ブラック&シルバー
対応フォームファクタ:ATX/MicroATX/Mini-ITX
寸法:(W)211.6×(H)491×(D)492mm
重量:6.4kg
素材:SECC
ドライブベイ:5.25インチ×3/2.5インチSATAホットスワップベイ×1/3.5インチシャドウベイ×6/2.5インチシャドウベイ×1
拡張スロット:7
(その1)「Six Hundred SE」の外観&内部チェック
(その2)「Six Hundred SE」を実際に組み込んでみる
(その3)「Two Hundred S」もチェックしよう
(その4)AntecノートPCクーラー全6モデル紹介
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