2024.12.26 12:22 更新
2024.12.26 取材
昌平橋通りで営業していた、老舗カレー専門店「ベンガル」の運営会社の破産手続き開始が報じられた。長く秋葉原で親しまれてきたカレーの名店の一つが、このまま姿を消すことになれば残念だ。
「ベンガル」は、長く秋葉原に通っている人にとっては馴染深い、1973年創業のカレー専門店。まだ秋葉原に飲食店自体が少なかった頃から営業しており、かつてはパーツ通り界隈に店舗を構えていた。旧店舗が入る日加石油ビルの建て替えにより2017年8月に一時閉店(跡地には「ノーガホテル 秋葉原 東京」が誕生)、その後同じ外神田3丁目にある昌平橋通り沿いの現店舗に移転し、2018年3月から営業を再開していた。
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なおエルミタでは、移転リニューアル後にMr.秋葉原ことササキチ氏による店主・浅見氏へのインタビュー記事を掲載している。
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当時のインタビューでは、40年以上続く同店の昔話から移転にまつわるよもやま、アキバへの想いに至るまでを語ってもらった |
信用情報を扱う帝国データバンクによると、12月18日に破産手続き開始の決定が通知。コロナ禍による売上減少の影響が尾を引き、特に伝統的なカレー粉製法で作られたスパイスなどを手がける香辛料卸事業の業績が回復せず、事業の停止に至ったようだ。
同店は先月末より臨時休業が続いており、店頭には「本日、都合により臨時休業させていただきます。」の張り紙が貼られたまま。同店HPでも「しばらくの間、店舗とウェブショップを休業させていただきます。」との告知が出された状態のままになっている。
近隣ショップでも、移転前を知るベテラン店員を中心に惜しむ声が多数。ただやや距離のある場所に移転したことから「以前の場所に比べると遠くなってしまって、ごはん候補から外れてしまっていた」というコメントも多く聞かれた。中には「以前に比べてカレー店の選択肢もかなり増えたのと、中心部から離れた場所にあることから、インバウンドの恩恵も限定的だったのでは」という声も。
ちなみに「これからは地価も今以上に上がっていくし、個人のお店をやっていくのはもっと大変になっていく。再開発されればされるほど、今までのような秋葉原を維持していくのは難しい」「それでもこれだから秋葉原なんだ、という特別な何かは変わらずあってほしい」とは、移転当時のインタビューで店主の浅見氏が語っていた言葉だ。
文: 編集部 絵踏 一/Tawashi