エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.671
2018.07.19 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一
初代モデルの完成度が極めて高かっただけに、正直なところ「MD650L」の変貌ぶりには、期待感と同じくらいの不安も抱いていた。スイッチ変更による大幅な薄型化で使い心地はどう変わるのか、アルミ素材に変わった筐体の影響はどうだろうか。慌ただしいCOMPUTEXでの出会いもありつつ、じっくりと手元で使う機会を経て、当初の不安はほぼ解消されたと言っていい。
パームレスト不要で使えるロープロファイルデザインは想像以上に快適で、頑丈なアルミ製フレームの安定感も心地よかった。低背化のため本体を嵩上げする必要性も薄れ、(当初心配していた)簡素すぎる金属製スタンドもまったく気にならない。ずしりと重量のある金属フレームはプレミアム感もたっぷりで、キーボードとしての風格も確実に次のステージに上がった印象だ。
大成功した初代モデルのスタイルを大胆に転換した「MD650L」。金属筐体とロープロスイッチの相性もよく、拡張されたレイアウトで利便性も向上。超小型の分離型キーボードとして、新しい境地を切り拓いたと言える |
その一方でやや惜しいポイントを挙げるとすれば、薄型化に貢献しているCHERRY MLスイッチそのものだろうか。しっかりしたストロークと短接点によるテンポのよい入力は十分な魅力があり、重厚なアルミ筐体の高剛性に助けられた底打ち感も良好。しかしCherryからも、すでに最新のロープロファイルスイッチである「CHERRY MX Low Profile」が発表されていることもあり、打鍵感に古めかしさが漂っているのも事実だ。
完成度をさらに高める上でも、ここはぜひ新世代の低背スイッチを搭載したバリエーションに期待したい。
Cherryが「CHERRY MXの特徴をすべて備えている」と謳う「CHERRY MX Low Profile」は、ロープロ仕様ながら打鍵感もCHERRY MXと遜色がない。これを搭載した「Barocco」シリーズも見てみたい気がする | 中国のKaihuaやTTCなども相次いでロープロファイルスイッチを投入。CHERRY MLのリリースから時を越えて、メカニカルスイッチ低背化の潮流が起こりつつある |
協力:MISTEL co,.Ltd