エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.825
2020.02.02 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
ASRock「TRX40 Taichi」 市場想定売価税抜63,500円(2019年11月30日発売) 製品情報(ASRock) |
最大32コア/64スレッドの圧倒的なマルチスレッド性能を誇る、「HEDT(High End Desktop)」CPUの第3世代Ryzen Threadripperがデビューしてから、約2ヶ月ほど。ターゲットが限定されることもあり、当初は「同日に発売される『Ryzen 9 3950X』の影に隠れてしまうのでは」と噂されていたものの、結果は想像を上回る好調なセールス。以降も堅調な売れ行きが続いているほか、2月に投入される64コア/128スレッドの最上位モデル「Ryzen Threadripper 3990X」の登場を控え、いまさらなる注目を集めている。
2019年11月30日に販売が解禁された第3世代Ryzen Threadripper。第3世代Ryzen最上位「Ryzen 9 3950X」との同日デビューだったが、完売するショップが相次ぐなど、予想以上に好調な船出となった |
そしてCPUソケットがSocket sTRX4に、対応チップセットがAMD TRX40へと移行したことにより、マザーボードラインナップも更新されることになった。ハイエンド向けプラットフォームとあって、メーカー各社も看板シリーズを中核に選りすぐりの鉄板モデルを投入。その中でも「ダントツに売れている」と店頭で評判を呼んでいるのが、今回の主役であるASRock「TRX40 Taichi」だ。いったいなぜ、そこまで圧倒的な人気を博しているのか。
各社とも厳選されたラインナップを投入した中で、抜きん出て売れ筋になっているのがASRockの主力モデル「TRX40 Taichi」だ |
第3世代Ryzen Threadripperに対応する、AMD TRX40チップ搭載マザーボード「TRX40 Taichi」。堅牢な電源回路や、充実した機能を備えたハイエンドモデルだ |
まず「TRX40 Taichi」がどのようなマザーボードなのか、搭載機能やスペックから素性を把握していこう。
さすがHEDT CPUを駆動させるマザーボードだけはあり、電源回路は16フェーズの強力な構成。部材はいずれも一般水準を大きく上回る高品質コンポーネントを揃え、MOSFETには最大90A対応を謳う「Dr. MOS」が採用されている。それらの回路には、ヒートパイプで連結された「XXL アルミニウム合金製ヒートシンク」が装着され、冷却対策も万全。背面には、放熱と剛性強化を担う「Metal Backplate」を備え、手に取った感覚はまるで分厚い鉄板のようだ。
16フェーズの強力な電源回路を搭載。背面にはバックプレートも備え、かなりの重厚感がある |
また、メモリスロットは最大4,666MHzの高クロック動作に対応。拡張スロットは、3-Way CrossFireX/3-Way SLIをサポートする装甲仕様の「PCI-E Steel Slot」を備える。
そして「TRX40 Taichi」は、特にストレージ搭載能力が強力。PCI-Express4.0接続のNVMe SSDに対応する「Hyper M.2」スロットをデュアル実装するほか、追加で4台を搭載可能な拡張カード「Hyper Quad M.2カード」が標準で付属している。なんと合計で6台のNVMe M.2 SSDが組み込めるというワケだ。
4基のM.2スロットを備えた拡張カード「Hyper Quad M.2カード」が付属する点もトピックだ |
さらにIntelチップのギガビットLANと2.5ギガビットLAN「Dragon 2.5 Gb/s LAN」(Dragon RTL8125AG)に加え、最大2.4Gbps転送の「Wi-Fi 6」(802.11ax無線LAN)を搭載するなど、ネットワーク性能も強力。最大20Gbps転送が可能な最新規格のUSB3.2 Gen.2×2ポートも備え、インターフェイスはかなり充実している。
そのほか、アドレス指定可能なRGBイルミネーション「Polychrome RGB」に対応。マザーボード上にRGB LEDを備えるのはもちろん、RGB対応ヘッダも複数実装、魅せるマシンの中核として申し分のない機能を持っている。
そしてこれらハイクラスの性能を揃えながら、ATXフォームファクタに収まっているのもポイント。屈指の人気を呼んでいる、その理由が見えてきたようだ。
「TRX40 Taichi」が収められた大柄なパッケージ。ATXフォームファクタの製品だが、多数の付属品を収めていることもあり、クラス相応のサイズになっている |