エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.849
2020.04.06 更新
文:撮影・エルミタージュ秋葉原編集部 松枝 清顕
冒頭でも触れた通り、「P82 Flow」は、風の流れ≓エアフローを製品名に冠したミドルタワーPCケースの新作。国内では税抜8,200円の市場想定売価で2020年2月より販売が開始されている。いわゆる普及価格帯のプロダクトで、自作派はもちろん、オリジナルブランドPCのベース筐体としても扱い易いだろう。
Antec「P82 Flow」 市場想定売価税抜8,200円(2020年2月8日発売) 製品情報(Antec / 株式会社リンクスインターナショナル) |
特に国内市場でのAntec人気は高く、これまで多くの名機を輩出した「Performance」シリーズに属する製品である事を考えれば、注目度は一段と高くなって当然だろう。他方、期待値が高い事はAntecも承知しているはずで、下手な製品はリリースできないというプレッシャーの中、「P82 Flow」が製品化されている事は容易に想像ができる。
Antecの看板「Performance」シリーズに属する「P82 Flow」は、2017年8月に国内販売が開始された「P8」の後継機種とされる。エルミタでは2017年8月に詳細検証をお届けしているが、なるほど外観デザインにはどことなく面影を感じさせる部分も見受けられる。ちなみに、当時の市場想定売価税抜9,700円に対し「P82 Flow」は同税抜8,200円。同一メーカーの”同門”である事を考えれば、後継機と見ていいだろう。
以前詳細検証をお届けした、Antecの定番ミドルタワー「P8」。Antec本社STAFFによると、世界各国で実によく売れたPCケースだったという |
ただし腑に落ちないのは、昨年の「COMPUTEX TAIPEI 2019」の会期中、Grand Hyatt Taipeiのプライベートルームにおける内覧会で展示されたプロトタイプ「P82」の存在。実は見比べると、かなり様相が異なっている。エルミタでは別物の「P82」を紹介してしまっている以上、まずは辻褄を合わせるべく説明が必要だろう。
レポート記事(2019年12月13日)でご紹介した”新作”には、間違い無く「P82/P82 CRYSTAL」のフライヤーが掲げられていた |
この疑問について、Antecの本社STAFFに聞いてみたところ、当初は間違い無く「P8」の後継機種として「P82/P82 CRYSTAL」の開発が進められていたという。しかし出来上がったサンプルは既存モデルを軸にした後継機種として思いの外かけ離れており、違いを埋めるには無理があるとの判断から、まったく新しい製品として独立。完成したのが昨年末に詳細検証を行った「P120 Crystal」ということらしい。
開発の秘話に関しては「P120 Crystal」検証記事でも触れたとおり。当初「P8」の後継機種だったが、”出来が良すぎた誤算”から新モデルとしてリリースされた産物なのだ |
回り道を余儀なくされた「P82」は、当初のスケジュールから遅れること数ヶ月。このほどようやくグローバル市場での販売がスタート。国内市場では「P82 Flow」が2月より店頭に並んでいる。
実機に触れる前に、スペック表から「P82 Flow」の概要を把握しておこう。対応フォームファクタはATX、MicroATX、Mini-ITXで、ミドルタワーPCケースに分類される。主な素材は、シャーシ等構造上強度が必要な部分にはSPCC(冷間圧延鋼板)、立体成型された部分にはプラスチックが使われている。
さらに左サイドパネルには強化ガラスを装着。魅せる要素を兼ね備えた、流行のスタイルと言えるだろう。その他については、検証を進めながら詳しく解説していくことにしよう。なお外形寸法は、幅215mm、奥行き454mm、高さ480mmで、重量は7.78kg。「P120 Crystal」に比べ、若干コンパクトな筐体に仕上げられている。
パッケージサイズについては、幅292mm、奥行き528mm、高さ527mmで、梱包材や付属品を含めた総重量は約9.22kgとされる。近頃よくある、フルタワーを名乗らない巨大ミドルタワーではないため、カート無しでも持ち帰りはできるだろう。