エルミタ的速攻撮って出しレビュー Vol.941
2020.12.09 更新
文:エルミタージュ秋葉原編集部 絵踏 一/撮影:松枝 清顕
まず最初のテストには、CPUの純粋なパフォーマンスを計測できる「CINEBENCH」系のベンチマークテストを実行しよう。搭載されているCore i7-10510UはTDP15Wのモバイル向けCPUながら、最大5GHzに迫る動作クロックが特徴。一般的なノートPCに比べて冷却が不利な傾向があるミニPCにおいて、どの程度食い下がれるかは見ものだ。
「CINEBENCH R15」の結果から見ていくと、最大8スレッドの省電力CPUということもあり、マルチコアテストのスコアはやや控えめ。その一方でシングルコアのスコアは悪くなく、デスクトップ版の第9/第8世代Core i5に匹敵するパフォーマンスを発揮できている。基本的にCPUパワーに物を言わせた重い作業には向かないものの、ビジネス向けのタスクや普段使いでは快適な動作が期待できそうだ。有望なシングルコア性能から、ライトなゲームであれば、十分に満足いくプレイが可能だろう。
また、今回はメモリ容量が半分のためあくまで参考ながら、前世代の「Mini PC PN60」と比べても、マルチコアで10%以上、シングルコアで8%程度のスコアアップを達成。確実に性能を上積みできていることが分かる。
続いては、新たに登場した「CINEBENCH」系の最新ベンチマーク「CINEBENCH R23」を動作させてみよう。従来の「CINEBENCH R20」とはスコアの互換性がなくなっているものの、継続的に安定した負荷をかけることにより、ベンチマーク精度が向上している。
まだ比較対象が少ないテストながら、マルチコア・シングルコアともに第2世代Ryzen 5程度のパフォーマンスを発揮できているようだ。ただしベンチマーク中のCPU温度を確認すると、高負荷時で最大95℃に達してサーマルスロットリングが発生している。サイズ感以上の高性能は確かながら、ミニPCならではの制約とも無縁ではないというわけだ。
ハードウェアモニターの「HWiNFO」でベンチマーク中の挙動をチェック。冷却面における制約が大きいミニPCとあって、高負荷時には冷却能力が飽和する場合がある |
次に「PN62-BB7047MT」のもつグラフィックス性能を「3DMark」を用いて検証しよう。言わずと知れた3Dベンチマークテストの大定番、モバイル向けCPUの内蔵グラフィックスである点を考慮し、プリセットはミドルレンジ向けの「Night Raid」と「Sky Diver」を動作させることにした。
フルHD解像度のDirectX 12対応ベンチマークである「Night Raid」は、やや負荷が軽いテストとあって良好なスコアをマーク。動作中の平均フレームレートも30fps以上を出していたことから、実際のゲームにおけるパフォーマンスにも期待してよさそうだ。
DirectX 11対応のフルHDベンチマーク「Sky Diver」の方は、「Night Raid」より負荷が大きなテストのため、平均フレームレートは20fps前後。実際のゲームプレイに置き換えた場合、描画品質や解像度の変更で改善が見込めそうな水準だ。
なお前世代の「Mini PC PN60」からグラフィックス性能は大きく変わっていないため、「3DMark」のテスト結果も近いスコアになっている。